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粗悪学術誌

「ハゲタカジャーナル」に名大と新潟大が対策

一般的なオープンアクセス型ネット学術誌の仕組み
「ハゲタカジャーナル」への掲載が多かった上位20大学・研究機関と論文数

 インターネット専用で、質が十分に保証されていない粗悪な学術誌「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、名古屋大と新潟大は、研究者のヒアリングや論文の投稿ルール作りなど独自の対策に乗り出す方針を決めた。両大は、ハゲタカジャーナルに学内から多数の論文が投稿されていたことが毎日新聞などの調査で判明している。学問の自由は憲法で保障されているが、大学の研究実績に疑義が生じることを防ぐ狙いがある。既に九州大が研究者への指導を始めており、国内で対策が広がり始めた。【鳥井真平】

 内容チェック(査読)がずさんで、料金を払うだけで掲載されるなど多くの問題を抱える学術誌を専門家が「ハゲタカジャーナル」と呼んでいる。科学的に妥当と言えない成果でも、投稿すれば「国際誌に掲載された」とお墨付きが与えられ、世の中に広まる恐れがある。研究者が粗悪誌と知らずに投稿した例もあるが、「業績の水増しのため投稿した」と証言した研究者もいる。

 毎日新聞は専門家の協力を得て、ハゲタカジャーナルを出しているとされる海外の出版社が発行する327誌に投稿された論文を調査。日本から5076本が投稿され、九州大は最多の147本、新潟大は4番目の102本、名大は5番目の99本の投稿が見つかった。

 これを受け、名大は早急に対策を取る方針。所属研究者に注意喚起した上で、粗悪な学術誌に論文がどの程度投稿されているか実態調査する。最も投稿が多かった学部を重点的に調べ、投稿経験者を抽出してヒアリングする考えで、投稿理由や査読の実施状況などを聴き、問題が見つかれば改めて対応を検討する。

 憲法は、研究成果の発表の自由など「学問の自由」を保障しており、大学が論文の投稿先について研究者から直接事情を聴くのは異例。名大の高橋雅英副学長は「査読なしで論文を掲載しているなら学術誌とは言えない。大学の信頼や研究者モラルに関わる問題で、対策をしっかり取る」と話す。

 一方、新潟大は9月、ハゲタカジャーナルへの投稿を控えるよう、年内にも学術誌への論文投稿ルールを新たに設けることを決めた。全研究者に注意喚起し、研究倫理教育セミナーでハゲタカジャーナルの存在を周知する。新潟大の担当者は「国民の信頼を失いかねない事態だ」と危機感を示している。

研究倫理に詳しい榎木英介・近畿大講師(病理学)の話

 大学でハゲタカジャーナル対策が広がっているのは危機感の表れで、歓迎すべきだ。研究者には論文の投稿先を決める自由があるが、ハゲタカジャーナルに掲載された論文を根拠に悪質な食品や薬などが作られ、人々が健康を害する可能性もある。憲法は学問の自由を保障するが、世の中に与える可能性がある悪影響を考えると対策は必要だろう。科学研究費補助金(科研費)を出す国も注意喚起すべきだ。

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