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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、音楽ツアーの企画など多彩に活動する加藤浩子さんのコラム。クラシックナビ連載。

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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

普段着の南イタリアにたたずむ麗しき劇場〜イタリア・バーリ歌劇場(ペトルッツェッリ劇場)

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褐色と白のコントラストが美しいバーリ歌劇場
褐色と白のコントラストが美しいバーリ歌劇場

 夜がぬれていた。

 日没後の濃紺が残る夜空のしたにひろがる迷路のような旧市街。どこまでが教会でどこまでが邸宅かわからない街並みを、ミカン色がかった街灯の光が照らし出す。

 観光客。地元のひと。いくつかの言葉が入り交じったさざめきが、近づいては遠ざかる。ひときわにぎやかで明るいのはレストランの前だ。ドアの隙間(すきま)から、開け放った窓から、オリーブオイルとニンニクの匂いが、食器のガチャつく音が、光の束が流れ出る。

 広場に出た。片端は海だ。爽やかな夜風。たむろする若者たち。何をするというのでもないけれど、ゆっくりと豊かに流れる時間を、仲間や家族と共有している。

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