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社説

米国発の世界的株安 貿易摩擦激化への警鐘だ

 右肩上がりだった米国の株式相場に、とうとう転換点が訪れたのか。

     ニューヨーク市場が8カ月ぶりの大幅安となり、東京など世界の市場も大きく揺さぶられた。約27年ぶりの高値を回復したばかりの日経平均株価は、下落率がダウ工業株30種平均を超える急落ぶりだった。

     このところ進んだ米国の長期金利上昇が要因の一つに挙げられよう。もともと過熱気味だった株式市場に、長期金利の急上昇が加わり、先行きへの警戒が一気に強まった。

     金利の上昇自体は、好景気の長期化を反映した自然な動きと言える。ただ急激過ぎると、企業や個人の借り入れを困難にし、景気を冷ますので警戒が必要だ。

     トランプ大統領は株価急落を受け、連邦準備制度理事会(FRB)を非難した。「気が狂った」などと、度重なる利上げを責めたが、筋違いも甚だしい。異例の金融緩和を正常化する措置は当然のことだ。改めるべきはむしろ大統領の政策だろう。

     国際通貨基金(IMF)は今週、世界経済の成長見通しを下方修正した。その主な要因は貿易活動の停滞である。IMFは、今年の世界貿易の拡大見通しを7月時点より0・6ポイント下げ、4・2%とした。

     貿易の停滞を招くのは、他ならぬトランプ政権の保護主義的な通商政策だ。「貿易戦争」が激化の一途をたどっている米国と中国では、実体経済への悪影響が現実のものとなりつつある。IMFは米中の来年の成長率をそれぞれ2・5%、6・2%と、ともに今年より0・4ポイント低く予測している。

     影響は、貿易に組み込まれている日本の企業や日本経済全体にも及ぶ。世界的な株急落は、不毛な対立が世界経済を混迷に陥れかねないことへの警鐘と受け止めるべきだ。

     先進国に新興国を加えた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議がインドネシアで開かれている。リーマン・ショック後の世界的不況では、新興国が回復のけん引力となったが、今回の貿易戦争はそうした新興国にも大きな犠牲を払わせることになりかねない。

     金融市場の変調を、世界経済の本格的な悪化に発展させないよう、各国は協調し米政権に保護主義との決別を働きかける必要がある。

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