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G20財務相会議

米国第一主義に敗北 機能低下、鮮明に

 世界同時株安に見舞われる中で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議。米国発の「貿易戦争」と「金利上昇」という世界経済の2大リスクへの対応が焦点だったが、トランプ米政権の「自国第一主義」の前に何の打開策も打ち出せなかった。

     「G20は貿易摩擦の議論の場を提供できるが、解決は当事国間でなされるべきだ」。議長国アルゼンチンのドゥホブネ財務相は12日の会議閉幕後の記者会見でこう述べた。世界株安の一因となったトランプ米政権が仕掛ける貿易戦争への対応でなすすべがないG20の無力感をうかがわせた。

     G20財務相は前回(7月)の共同声明で貿易戦争について「(収拾に向けた)対話と行動を強化する」と表明した。だが、米国はその後も中国製品に追加関税を課す制裁措置を拡大。中国側も「極限まで圧力をかけるやり方は中国には通用しない」(高峰商務省報道官)とし、報復関税で対抗している。

     米中の貿易戦争の深刻化は世界経済の先行き不安を高めているが、トランプ政権は意に介していないように見える。ムニューシン米財務長官はG20会合の最中、「米国は、米国と世界の成長を妨げている世界中の制限的な貿易慣行(の削減)に取り組んでいる」との声明を公表。トランプ政権の貿易政策の正当性をアピールした。

     トランプ米大統領は「中国からの全ての輸入品に制裁関税を課せる」と更なる強硬措置の可能性も示唆。一方で、米メディアによると、11月末にアルゼンチンで開くG20首脳会議に合わせ中国の習近平国家主席との首脳会談を水面下で模索しているようだ。ただ、両氏とも国内での求心力低下につながる大幅な妥協は難しく、仮に会談しても成果が上がるかは分からない。

     米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制を狙いに進める利上げ路線も世界経済を動揺させている。米長期金利の上昇で投資マネーが新興国から米国に流出し、新興国通貨は歴史的な安値に沈んでいる。

     ドゥホブネ氏のお膝元のアルゼンチンでは、今春ごろから米国などへの資金流出が加速。アルゼンチン中銀は政策金利を70%超に引き上げたが、通貨ペソは対ドルで年初から約5割も下落。資金流出に歯止めが掛かっていない。トルコも通貨リラが4割近く下落しており、G20メンバーの新興国は軒並み資金流出と通貨安に苦しんでいる。

     一見、経済が絶好調な米国も足元では景気過熱感やインフレ圧力が台頭し、長期金利が約7年ぶりの高水準となる3%台に上昇。持続的な成長に向けて難しい局面を迎えている。10日に米株価が急落したのも、米国の物価関連指標の上昇をきっかけに「利上げペースが速まり、企業業績を圧迫する」との懸念が広がったためだ。

     「金融の脆弱(ぜいじゃく)性に関わるリスクが現実化し新興国経済に大きな打撃を与えている」(インド財務省のガルグ経済局長)。今回のG20では、新興国から米国をはじめ先進国に対して慎重な金融政策運営を求める声も相次いだ。だが、FRBは米国の物価安定と雇用最大化という使命からインフレ予防の手を緩められず、新興国との利害は対立したままだ。

     各国が結束して危機対応に当たったリーマン・ショックから10年。トランプ政権の「米国第一主義」も影響し、協調できないG20の機能低下は鮮明だ。【岡大介、ワシントン中井正裕、北京・赤間清広】

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