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社説

フランスで「ジャポニスム」 官製よりも民間が主体で

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 日本の多様な芸術文化が注目を集めている。世界中から観光客が訪れるパリを中心として、7月に始まった大規模な文化の祭典「ジャポニスム2018」だ。

     今年は日仏友好160年の節目にあたる。日本政府が約40億円を投じ、美術や演劇、映像など約70の公式企画を8カ月かけて展開する。

     2年後の東京五輪・パラリンピック開催を視野に、日本文化への理解を深めてもらうとともに、観光客の増加につなげる狙いもある。

     ジャポニスムと呼ばれる日本美術ブームは19世紀後半、幕末の開国を機にフランスを中心にヨーロッパで起こった。浮世絵や美術工芸品への関心が高まり、ゴッホやモネなど西洋美術に大きな影響を及ぼした。

     現在もフランスでは日本文化への関心は高い。黒澤明監督、小津(おづ)安二郎監督らの日本映画をはじめ、マンガやアニメ、ゲームなどのポップカルチャーも人気がある。

     そのなかで今回のジャポニスムは、これまで世界にあまり紹介されてこなかったものを見せようという試みだ。日本では一大ブームとなった伊藤若冲(じゃくちゅう)の「動植綵絵(どうしょくさいえ)」と「釈迦(しゃか)三尊像」計33点の一挙公開は欧州初となった。

     古典芸能だけでなく、気鋭の現代演劇アーティストを多数取り上げたことも評価できる。現地の移民らも巻き込んだ日仏共同の演劇制作は、社会包摂の点からも意義は大きい。

     価値が多様化するなか、文化を通じた相互理解はますます重要になる。来年は米国開催も検討されているという。しかし、今回のように官製のイベントで、国が旗を振るだけでは、真の交流にはつながらない。本来、民間が主体となって担っていくべきものだ。その取り組みには、国も支援を惜しむべきではない。

     一方で、質の高い芸術文化の創造がなおざりにされるようでは本末転倒だ。政府は「文化芸術立国」の実現を掲げる。目の肥えた海外からの人々を引きつけるためにも、創作現場への支援は欠かせない。

     それを支える鑑賞人口の増加にも努める必要がある。内閣府の16年の調査では、過去1年間にホールや劇場、美術館などで鑑賞活動をした人は全体の59・2%にとどまる。底辺を広げることも大切だ。

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