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いただきます

カツサンド×新宿・歌舞伎町 父と、この街の懐で

イラスト 佐々木悟郎

 東京・新宿に「歌舞伎町一番街」の赤いネオンがともる頃、老舗とんかつ店「すずや」で弁当箱が二つ用意される。一つにはヒレカツを入れ、もう一つには自家製のソースをなみなみと注いでおく。

 弁当箱は近くにあるゴールデン街の「民芸酒房 SUZUBAR」に運ばれる。「すずや」社長、杉山元茂さん(65)の次女として生まれた文野さん(37)が経営するバーだ。ここでヒレカツはソースに浸され、食パンに挟まれて、カツサンドになる。ピクルスとローズマリーを添えるとバーの空気にしっくりなじむ。

 文野さんは幼い頃から父とキャッチボールをして遊んだ。姉の七五三で家族写真を撮る時は「着物もスカートも嫌だ」と泣いた。穏やかな父は娘の意思を尊重した。家族写真にはブレザーと半ズボンでめかし込み、少し誇らしげな文野さんが写っている。

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