歌舞伎

芸術祭十月大歌舞伎 仁左衛門の助六に緩急=評・小玉祥子

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 十八世勘三郎七回忌追善。昼夜の最後に一番の見ものがある。夜が「助六」。仁左衛門の助六は姿が良く、せりふと動きに緩急があり、恋人の揚巻(あげまき)(七之助)、兄の白酒売新兵衛(勘九郎)、母の満江(玉三郎)のそれぞれに異なる面を見せる。七之助があでやかで「悪態の初音」のせりふにテンポが出て、満江にはいたわりの思いを感じさせる。勘九郎に江戸和事らしい柔らかさがあり、歌六の意休が敵役らしさを品位を失わずに見せ、玉三郎が母の情をにじませた。児太郎の白玉、又五郎の門兵衛とそろう。

 昼が「佐倉義民伝」。白鸚の木内宗吾が最初の「渡し小屋」では歌六の甚兵衛を思いやる気持ちを端々で示し、「宗吾内」では、女房おさん(七之助)と子供たちを慈しむ感情を表し、最後の「東叡山直訴」まで一貫した正義の人物像を描き出した。歌六の一徹ぶり、七之助の優しさが宗吾をより魅力的に彩り、徳川家綱の勘九郎が周囲を圧する大きさを見せた。

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