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社説

児童相談所の虐待対応 習熟した専門職の養成を

 増え続ける虐待に対応するため、政府は児童相談所で働く児童福祉司の増員を打ち出している。しかし、それだけで難しい虐待事例に対応できるだろうか。

     虐待の通報があっても、親が虐待を否定し、子どもにも会えない。子どもは親をかばって虐待を否定する。リスクをどう判断し、いつ子どもの保護に踏み切るかは難しい。そうした事案を1人の職員がいくつも同時に抱えているのが実情だ。

     全国210カ所の児童相談所で働く児童福祉司は現在約3200人で、政府は来年度から4年間で2000人増員するという。この10年で虐待件数は3・3倍に増えており、職員の増員は不可欠だ。

     ただ、児童福祉司は国家資格ではなく、大学で心理や教育を学んだ人や社会福祉士資格を持っている人を自治体が任用することになっている。一般行政職員を一時的に児童福祉司に任用し、3年程度で他の部署に異動させている自治体は多い。

     児童相談所の組織のあり方や運用に関する国の基準は緩く、自治体間格差が著しい。職員のほとんどが一般行政職という相談所もある。

     困難な虐待事例に対応できるようになるには10年はかかると言われているが、10年以上の経験のある児童福祉司は17%しかいない。虐待が増加する中で経験者に仕事が集中し、ストレスで離職する人も少なくない。その結果、若い福祉司の育成がますます難しくなっている。

     児童福祉司の仕事は、親から子どもを強制的に保護することもあり、一般の行政サービスとはまったく異なる。児童福祉司の資格基準を厳格化し、一般職とは別枠の採用・人事制度にすべきではないか。

     NPOなどには長年にわたり虐待に取り組んでいる人材がいる。弁護士や医療機関と緊密に連携しているところもある。経験豊富な民間との人事交流も検討していいだろう。

     複雑な法的問題が絡む事案は増えている。改正児童福祉法で2016年から児童相談所に原則として弁護士を配置することが定められた。実際には非常勤も含めて弁護士がいる児童相談所はわずかだ。

     数を増やすだけでなく、個々の児童福祉司の質を高め、児童相談所の機能を強化しなければならない。

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