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幸せの学び

<その192> 関学チームの魅力=城島徹

26年前の記事と山川岳さん

 日本大アメリカンフットボール部の選手が関西学院大(兵庫県西宮市)の選手を悪質タックルで負傷させた問題をきっかけに、26年前に書いた関学アメフット部の分析記事を引っ張り出した。当時取材した元選手に連絡をとると、若い世代のダンス普及に情熱を注いでおり、その姿から関学の魅力的なチームカラーをあらためて実感した。

     その記事は私が阪神支局に在籍していた1992年秋、地元の「はんしん版」に書いた。大阪と神戸に挟まれ、背後に六甲山、目の前に大阪湾が広がる阪神間の明るい風土を検証する連載の一環で、その開放的なチームカラーに焦点を当てたものだ。

     「練習は厳しく、試合はさわやかに。それが私たちのモットーです」「ウチには体育会系独特の上下関係がなく、下級生が先輩の荷物を持つことや洗濯などの雑用もない。平等に練習でき、“汗と涙”の高校野球とは対極です」。記事でそう解説していたのが中・高・大でいずれも日本一を経験、大学のコーチも務めた山川岳さんだった。

     山川さんはこうも語っていた。「先輩へゴマをする“よいしょ”が通用せず、“これだけやったんや”という精神主義も通らない。結果をいかに出すかを合理的に明るく追求する。それがアメフトから学んだことで、実社会でも大いに役立っています」

     四半世紀以上も前だが、色あせない「精神」だ。日大の反則プレーをした学生の潔い記者会見をきっかけに「謝る力」(清水書院)という「謝罪の流儀」をテーマにした本を書いた私は山川さんを再取材し、この記事「合理主義の関学アメフト」を収録した。

    母校の関学大や社会人チームでコーチ、監督を経験した元スター選手がなぜダンスなのだろうか。普及活動で全国の高校を回る本人はこう説明した。「アメリカンフットボールをやり切ったなと思えた50歳のころ、『100年後に若者が真剣に楽しく取り組めるスポーツはなんだろう』と考え、それはスポーツと文化の融合したものだと思いました」

     今やダンスは女子高生の競技人口第1位という。「教育としてのダンスの主眼は仲間とのコミュニケーションと自分の思いを伝えること。リベラルで礼儀正しく、ライバル校に敬意を持つ。まさに関学のアメフット部で僕が学んだことです」という言葉に納得した。

     同い年のチーム仲間だった鳥内秀晃監督が率いる現在のチームも「僕らのころと変わらない。荷物持ちやグラウンド整備は先輩も後輩もありません」と山川さん。タテ社会の忖度やパワハラとは無縁で、しかも軽やかに転身を促すカルチャーがうかがえた。【城島徹】

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