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余録

幕末の江戸を襲った安政大地震の後…

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 幕末の江戸を襲った安政大地震の後、市内に地震ナマズを描く錦絵が続々と現れた。「万歳楽(まんざいらく)。身の用心。地震除(よ)けの呪(まじな)ひ。家の中に張り置くべし」。こんな文句も記され、地震よけのまじないにもされた▲「鯰(なまず)絵(え)」は分かっているものだけでも250種を超え、ナマズが退治されるさまや逆にナマズが人助けをする図などなどバラエティー豊かである。先の「万歳楽」とは当時の人が地震の時に唱えたおまじないで、鯰絵によく登場した▲「東西南北の柱にはり置けば、家崩れ、壁破るることなし」。地震よけの効験をうけ合うものもあったが、余震の恐怖から逃れるには他にすべのない昔だ。だが現代でも効果のほどはふれ込みを信じるしかない「地震よけ」があった▲聞けば全国986のマンションや病院、公共施設などに設置された免震、制振装置に性能検査データの改ざんがあったという。油圧機器メーカーKYBの発表で、15年間にわたり指定基準を満たさない製品を不正に出荷していたのだ▲地震よけのお札よろしく、建物に装備して地震による揺れを抑える免震、制振装置である。不正のあった装置も「震度7程度に耐えられる」というが、KYBは該当製品をすべて交換する方針を示した。経営へのダメージは大きかろう▲免震装置の偽装といえば東洋ゴムの例もあった。地震対策の製品でなぜ不正が続くのか。まさかメーカーの防災意識が鯰絵の版元並みだとは思わないが、大きく損なわれた「地震よけ」への人々の信頼である。

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