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毎日新聞
アスリート交差点2020

1%だから走る!! 新旧スタイル使い分け=柔道・松本薫

 8月25日の全日本実業個人選手権で、個人戦では2016年のリオデジャネイロ五輪後初めて試合に出場しました。結果は金子瑛美選手(自衛隊)に負けて、準優勝でした。それでも出産後、常に相手に圧力をかける「突進型」から相手の動きに反応する柔道スタイルに変えた手応えを感じることができました。

     戦い方は足のステップから変わりました。今までは右足をとにかく出して前に進むしかなかったのですが、必要に応じて左足を出してステップを踏めるようになりました。相手によって臨機応変に反応できるようになりました。

     準々決勝で一本勝ちを奪った小内刈りは、新しいスタイルが最もきれいに決まった形でした。相手の上半身の動きを見て、「今、いける」と勝手に体が反応しました。そのひらめきは、以前にはなかった感覚です。昔は相手を動かすことに意識を割いていましたが、今は相手の動きがよく見えるようになったからだと思います。試合の1カ月前くらいの練習から、その感覚が芽生えました。

     今後は新しいスタイルと昔のスタイルと、相手に合わせて臨機応変に使い分けていければと思っています。私は足技が得意ですが、警戒した相手をうまく動かせないこともあるので、そういう試合では新しいスタイルが有効じゃないかと感じています。

     決勝は集中力が切れました。実戦感覚を取り戻すために出場したのですが、試合前に、「これで勝っても(世界選手権の選考大会で11月の)グランドスラム大阪の出場につながるわけでもないな」と、ふと思ってしまって……。息は切れていなかったので、体力的には問題ありませんでしたが、スイッチが切れてしまいました。大事な試合になれば、今回のようなことはありません。

     11月4日に世界選手権の1次選考になる講道館杯があります。今はまだスタートにも立てていない状態だと思っていますが、勝てばやっと東京五輪へ一歩つながります。出産前と変わり、今回の試合は大学生以来、久しぶりに勝負の世界で楽しいと感じることができました。講道館杯も楽しんで、自分の今の力を出し切るだけです。(あすはカヌー・羽根田卓也です)(タイトルは自筆)


     Q 対戦相手の研究は

     今の自分は国内だとほとんど小関也朱篤選手(ミキハウス)と一騎打ちになります。とらえ方によっては「対人競技」のようになりますが、試合前に相手を意識しますか。競泳・渡辺一平からの質問

     A 私は意識も程々、研究も程々です。理由は、その時の直感を大事にしたいからです。相手のことを意識し過ぎたり、研究し過ぎたりすると、研究した以外のことが起きた場合に反応できない時があります。だから、ある程度の情報だけを頭に入れて、あとは自分の完成度を高め、何が起きても対応できる準備だけはしています。ライバルがいることはとても良いことです。共に高め合って、認め合って頑張ってください。


     ■人物略歴

    松本薫(まつもと・かおり)

     金沢市出身。女子57キロ級で、2012年ロンドン五輪金メダル、16年リオデジャネイロ五輪銅メダル。16年秋に結婚し、昨年6月に長女を出産。今年1月に本格復帰した。べネシード所属。31歳。