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あしたに、ちゃれんじ

カフェ併設の障がい者施設「GIVE&GIFT」 困りごと解決、糸口探る=中川悠 /大阪

社会の課題をプラスに変えるため本拠のカフェ「GIVE&GIFT」を飛び出して活動する筆者の中川悠さん(中央)=堺市内で、中川さん提供

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 一汁三菜をテーマに作られたプレートには、メインとなる鶏肉の照り焼きに合わせて、彩り豊かな小鉢が並ぶ。正午を過ぎると、街で働く女性たちが店を訪れ、おいしい料理を楽しみ、ゆったりと流れる昼休みの時間を過ごす。この店は、大阪・淀屋橋のオフィス街にあるランチカフェ「GIVE&GIFT」。僕が、2014年に開いたカフェ併設の障がい者施設だ。

     カフェの2階は、この店の調理を任される厨房(ちゅうぼう)だ。玉ねぎやレタスをカットする音、フライパンで温められるカレーの香り、「炒めもの、終わりました!」と元気いっぱいにあいさつをする若者の笑顔など、現場はエネルギーに満ちあふれている。この若者たちこそ、絶品の料理を作り出すプロであり、障がいのある人たちなのだ。

     都心にある福祉施設は、働く障がい者の力を大きく伸ばしてくれる。電車で職場に通う力、料理を作る力、オフィス街に触れる力、手がけたものが誰かに届くことを実感する力。人が集まり、多くの消費を生み出す都心だからこそ、障がいのある人たちの働く力を育ててくれる学びが、この街にはあふれている。さらに、都心部のカフェであればランチを食べるお客様が多く、施設で働く障がい者の給与も高まる。しかも、都市部は障がい者雇用に取り組む企業も多く、彼らの就職の可能性も高まっていく。

     人口減少社会の中で、目の前に現れる困りごと。次々に現れる課題を一つでもプラスに変えられないかと、僕は数年前から「イシューキュレーター」と名乗るようになった。イシューとは「課題」、キュレーターとは「編集者」。大切なのは、目の前の課題だけにとらわれず、今までつながっていなかった資源同士を掛け合わせていくこと。そうすることで思わぬ相乗効果が生まれ、社会の中の困りごとをゆるやかに解決する糸口が見えてくる。僕は今、課題の編集者として、福祉だけでなく、農業、漁業、伝統産業の世界にも関わりはじめている。

     新聞を開くと、次から次へと心を締め付けるような悲しみを帯びたニュースが飛び込んでくる。しかし、未来への希望は確かに身近なところに存在している。だって、未来をプラスに変えていく取り組みが、地域には次々と生まれているのだから。これから、時代が変化していく中で、「福祉施設×ランチカフェ×オフィス街」のような新しい掛け算が、日本全体の困りごとを解決していく可能性に、ぜひとも注目してほしい。

          ◇

     地域をもっとよくしたい! 子どものため、高齢者のため、今から取り組めるアクションのヒントを探したい! そんな思いを持つ読者に向けて、連載「あしたに、ちゃれんじ」で、関西各地で芽生えている市民の新しい活動を紹介します。=次回は11月16日掲載予定


     ■人物略歴

    なかがわ・はるか

     1978年、兵庫県伊丹市生まれ。NPO法人チュラキューブ代表理事。精神科医療機関を経営する母方の祖父、義肢装具の開発をする父をもつ。情報誌編集の経験を生かし、社会課題の解決策を探る「イシューキュレーター」として活動している。

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