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日韓首脳の相互往来 ハードル下げて定例化を

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 今年は日韓共同宣言20周年に当たることを踏まえ、日韓両政府が模索していた韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の年内訪日が見送られそうだという。

 安倍晋三首相と文大統領は昨年7月、両首脳が頻繁に往来する「シャトル外交」の再開で合意した。しかし、これまでに行き来したのは今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式と5月の日中韓首脳会談の2回のみにとどまる。単独訪問は一度もない。

 シャトル外交は、日韓共同宣言にその趣旨が盛り込まれ、2004年7月に小泉純一郎首相が韓国・済州島を訪れたことで始まった。

 日韓の間には常に歴史や領土問題などが横たわるものの、11年12月まで単独訪問の形での往来が続いた。 それから7年近くも途絶え、もはや、どちらが次に訪れる順番なのかすらあいまいになっている。歴史的にもつながりの深い隣国同士なのに、残念だ。

 長く断絶しているのは、首脳往来そのものを国内政治と結びつけ、双方が外交的成果を求めようと過剰に意識するからだろう。とりわけ文大統領の前任である朴槿恵(パククネ)大統領は、慰安婦問題の進展を首脳会談開催の前提条件としたため、3年以上、会談ができなかった。

 安倍、文両首脳はこの反省に立ったはずだったが、依然として国内世論や政治状況に左右されていることに変わりはない。

 韓国政府は、慰安婦問題に関する日韓合意に基づき設立した「和解・癒やし財団」の解散を示唆する。日本の植民地時代の元徴用工による損害賠償請求訴訟は、年内にも韓国の最高裁による確定判決が予想され、国民感情の悪化が懸念される。そうなると、ますます訪問は難しくなるだろう。

 今月11日に韓国であった国際観艦式をめぐっては、韓国側が自衛隊旗の旭日旗を掲げないよう求め、日本側が派遣を見送る事態に発展した。

 それだけに、ハードルを低くし、首脳往来を定例化する時ではないか。違いがあるからこそ日常的に会い、信頼を深めた方がいい。北朝鮮問題での連携にもプラスに働く。

 日韓両国の民間レベルの交流は拡大を続けている。政治指導者が先頭に立ってこそ、重層的な関係構築が可能となろう。

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