「手仕事」だとは感じていなかったものが、実はずいぶん人の手が入ってつくられていることを知ることがある。
気仙沼ニッティングの編み手たちは、もともと主婦だった人も多いが、別の仕事に就いていた人もいる。彼女たちに、以前はどんな仕事をしていたのか聞くと学びが多い。
ある編み手は、前職は食品加工会社の工場に勤めていて、コンビニ弁当をつくっていた。コンビニ弁当に「手料理」という印象はないかもしれない。実際、機械で弁当箱におかずを詰めていたそうだが、彼女の仕事は機械が詰めたおかずの重量を調整することだった。
弁当の仕様はおかず別の重量まで定められており、たとえば一つの弁当で、卵焼きは15~17グラム、豚肉のしょうが焼きは15~20グラムなどと決められている。機械はその幅に収まるようにおかずを弁当箱に入れる。彼女の仕事は言うなれば、15~20グラムで入れられたしょうが焼きがぴったり15グラムになるように、肉を少し抜いて調整するような仕事だった。ぴったり15グラムにするのは、原価を抑えるためだろう。肉は…
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