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社説

地方アイドルのトラブル 未成年の保護規定が必要

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 松山市を拠点とするアイドルグループでリーダーを務めた16歳の少女が自殺し、遺族が損害賠償を求めた裁判が注目されている。自殺は、所属事務所による過酷な労働環境やパワハラが原因だったと訴えた。

     遺族側は、脱退の意向を伝えた時にスタッフからLINE(ライン)で「次また寝ぼけた事言いだしたらマジでブン殴る」と言われ、学業より仕事を優先するよう強制されたと主張する。事務所側はパワハラなどについて否定している。

     少女が事務所と結んだ契約書には、さまざまな禁止規定がある。例えば、正当な理由なく指定された活動を欠席した場合はその月の報酬の50%、遅刻は5000円の罰金が科せられる、などだ。

     なかでも目を引くのは、事務所の内部情報を「許可なく家族を含む他者に開示してはならない」という規定だ。情報を漏らせば50万~100万円の罰金という。

     未成年が仕事上の悩みを信頼して相談する相手はまず親だろう。それすら禁じる内容である。あまりに非常識と言わざるを得ない。

     にもかかわらず、未成年相手にこうした契約が結ばれる背景には芸能界特有の契約形態がある。アイドルが事務所に専属して活動し、事務所が活動を支援する業務委託方式だ。

     企業が従業員を雇う際に結ぶ労使の義務などを定めた雇用契約と異なり、労働者を保護する労働基準法など労働法規が原則、適用されない。

     しかし、遺族側によると、イベントがある日は1日平均10時間以上の拘束があったという。未成年に対する過酷な労働実態をどう認定するかが、大きな争点となる。

     全国各地のアイドルグループは、AKB48グループの成功もあり、批評家によれば1000組以上あるという。ビジネスの広がりを物語る。

     それに伴い、アイドルと事務所を巡るトラブルも増えている。東京のグループや別のアイドルらが賃金未払いやセクハラ被害などを訴えて裁判になり、社会問題化した。

     心身が成熟していない未成年に対しては、健康への配慮や精神的な支援をする環境整備が必要だ。現状を野放しにせず、必要なら国が業界団体と協議し、未成年を保護する規定の策定に乗り出すときである。

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