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来年3月に迫った英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉は、EU首脳会議で目指した大筋合意に至らず、決着は先送りされた。
大きな障害となったのは英領北アイルランドとアイルランドの国境管理問題だ。EUは北アイルランドを関税同盟に残すことを提案。英国はそれが国家の分断につながると反発し、英国全体が一時的に関税同盟に残る案にこだわった。
また、将来の通商関係をめぐり、英国はモノの自由取引を続ける一方、移民規制を導入する離脱案に固執している。EUは人の移動の自由だけを制限する姿勢は「いいとこ取り」だとして受け入れていない。
EUは合意期限を12月のクリスマスまでずらしたが、混迷は深い。
合意に達しない場合は2020年末までの「移行期間」が白紙化される恐れがある。3月の離脱で一斉に関税や通関手続きが復活し、市民生活や世界の企業活動が混乱に陥る「合意なき離脱」が現実味を帯びる。
交渉が遅々として進まない原因は主に英国側にある。与党・保守党内の対立があまりにも深刻だからだ。
強硬派はメイ首相の離脱案が「EUに半分残留するようなものだ」と反発している。また、閣外協力する北アイルランドの地域政党は、本土内で関税障壁が生じることになるEU案に反対する。
一方、野党の一部では再度の国民投票を求める声も噴き出している。
このためメイ首相は今回予想された政府の新提案すら提示できなかった。仮にEUと合意できても、本国に持ち帰り議会承認で否決される事態を恐れたのだろう。メイ首相の迷う姿が目立つ。
しかし、そもそも主権の回復を理由に離脱を選んだのは英国自身ではないか。離脱による代償や困難は当然予想されたはずだ。それらを受け入れた上で最善の策を探る議論を進めるべきだろう。
メイ首相はあくまでもEUとの経済的なつながりの継続を重視する。ならば、それが国益に通じることを与野党をはじめ国民に訴え、政治生命をかけてでも説得すべきだ。
もはや英国だけの問題ではない。他国や国際社会のことも考え、EUが受け入れられる譲歩案を示し、混乱回避に努めてほしい。
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