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岩間陽子・評 『ベルリンは晴れているか』=深緑野分・著

 (筑摩書房・2052円)

綿密な調査による精巧な芸術作品

 こんな本を読んだことがない。題名にベルリンとついていることに引かれて手に取ったけれど、正直最後まで読み通すとは思っていなかった。ヨーロッパを舞台にした日本人作家のミステリーは多い。古い陰影のある街並みは、物語の舞台によく似合う。しかし、読み始めると、街も登場人物も作り物ぽくて、途中で投げ出してしまうことが多い。しかし、本書は読み始めて驚愕(きょうがく)し、一気に読了した。

 ベルリンは私が第二の故郷と愛する街だ。二○代でこの街に暮らし、人生が大きく変わった。嘘(うそ)が書いてあれば分かる。この本に登場するドイツ人も、アメリカ兵も、ソ連兵も、ベルリンの街も、全部本物だ。一九八三年生まれの著者がこの時代を知るはずもなく、綿密な調査と取材で作り上げられた、精巧な芸術作品なのだろう。だが、すべての手触りがあまりに本物なので、日本語で読んでいることを忘れるほどであった。恐るべ…

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