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コンテナと修道院

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 ひとつの感情からぬけ出せないと苦しい。こだわっては状況がさらに悪化することを本人が一番分かっている。プッチーニのオペラ3部作の第1作《外套》は、とらわれた感情に焦点を当てる。

 船長のミケーレ(今井俊輔)は、妻のジョルジェッタ(文屋小百合)の気持ちが自分から離れようとしているのに気づく。彼女に新しい男・ルイージ(芹澤佳通)ができたからに違いない。状況を冷静に判断するなら、彼女の中の船長のイメージを傷つけないために、すっぱり彼女から身を引いたほうがいい。醜い争いも起こらないだろう。だが彼は、無駄と分かっていながら、ジョルジェッタと愛し合って幸せであった過去の思い出を持ち出して語りかける。

 9月に東京・新国立劇場で上演されたミキエレット演出による二期会の舞台は、冒頭、波止場のようなコンテナ倉庫群の闇がまさに、とらわれ、うねって落ちてゆく船長の感情を体現していた。

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