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余録

平民宰相、原敬は…

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 平民宰相、原敬(はら・たかし)は国会演説で初めて自分を「私」と呼んだ首相という。以前は「本官は……」などと官僚臭丸出しだった。さすが初の本格的政党内閣の首相だが、演説自体は懇切丁寧というのでもなさそうだ▲1920年7月の施政方針演説は全文2000字余の短いもので、木で鼻をくくったような内容だった。対する野党の雄弁家・永井柳太郎(ながい・りゅうたろう)は2時間にわたった演説でこれを批判、有名な「西のレーニン、東の原総理」発言が飛び出た▲ロシア革命のレーニンは労働階級、原は資本家階級の独裁で、共に民主主義に反するとの意味である。この大演説に原は「大部分がただの議論で、答えようがない」と、これまたにべもない答弁で応じた(芳賀綏(はが・やすし)著「言論と日本人」)▲こんな故事を思い出したのも、安倍晋三(あべ・しんぞう)首相が所信表明演説で原の言葉「常に民意の存するところを考察すべし」を引いたからだ。むろん原の高飛車にあやかろうというのではなく、引用句通りの低姿勢をアピールするためのようだ▲「長さゆえの慢心」への国民の懸念に向き合うと述べ、いつにない自戒モードを印象づけた首相演説だ。やはり総裁選で受けた地方からの逆風、内閣改造による政権浮揚の不首尾で、無用の体力消耗は避けたいということなのだろう▲任期いっぱいの「次の3年」が強調されたのも、その先のない権力の求心力維持の難しさを承知だからに違いない。戦後外交の総決算を掲げる首相だが、聞き飽きた「謙虚に、丁寧に」も総決算の時のようだ。

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