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社説

シリアで拘束の安田さん まずは無事な解放を喜ぶ

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 シリアで武装勢力に拘束されていた日本人フリージャーナリストの安田純平さん(44)が解放された。内戦取材のために2015年にシリア入りし、行方不明になって3年4カ月ぶりに自由の身となる。

     銃を持つ覆面姿の男の前で、オレンジ色の囚人服をまとい助けを求める映像がインターネット上に流れた今年7月には、安否が心配された。

     最悪の事態は避けられ、生還を待ち続けた家族はさぞかし安心していることだろう。安田さんのシリア入国には賛否があるが、まずは無事に解放されたことを喜びたい。

     日本政府は解放に向け、カタールやトルコを通じて交渉を続けてきたという。両国は、安田さんが拘束されたシリア北西部の反体制派の武装勢力を支援し、影響力を持つ。

     安倍晋三首相は「カタール、トルコには大変な協力をしていただいた」と謝意を表明した。解放の一報はカタールからあり、安田さんはトルコで保護されているという。

     海外にいる邦人の保護は政府に責任がある。「人命を最優先にしつつテロには屈しない」という原則のもと、救出計画を立案し、両国政府の協力を得ながら解放につなげた。

     解放に至った経緯は明らかではないが、11年に始まったシリア内戦で、反体制派が劣勢に追い込まれている戦況と無縁ではないだろう。

     北西部ではトルコと、アサド政権の後ろ盾であるロシアが非武装地帯設置で合意した。双方とも部隊の撤収や重火器の撤去を始めたという。

     武装勢力にとって人質の必要性が薄れているという見方があり、解放を後押しした可能性もある。

     戦場を取材するジャーナリストは、戦争の悲惨な現状を世界に向けて発信する役割を担っている。

     ただし、政府が「退避勧告」を出しているような危険地域での取材には周到な準備が必要だ。危険を察知する状況判断も重要になる。

     安田さんが海外で武装勢力に拘束されたのは04年のイラクに続いて2回目だ。最初の解放時は「自己責任」を追及する意見もあった。

     安田さんはトルコで謝意を示す声明を発表した。映像を見る限りしっかりした口調だ。邦人保護や戦場取材で共有すべき教訓はないか。帰国後、ぜひ話してほしい。

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