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モカ

製造従事の17人、ぼうこうがん発症 全国7事業所

 ウレタン防水材などの原料に使われ、発がん性がある化学物質「MOCA(モカ)」を製造するなどしていた全国7カ所の事業所で、モカの取り扱い作業歴のある労働者と退職者計17人がぼうこうがんを発症していたことが、厚生労働省の調査で明らかになった。同省は各労働局や業界団体に改めて注意を促す通知を出すとともに、発症者が集中している事業所の従業員らに労災制度の案内に乗り出す方向で検討を始めた。【大久保昂】

 2016年に静岡県富士市にある旧イハラケミカル工業(現クミアイ化学工業)静岡工場で、モカ製造に関わった労働者5人がぼうこうがんを発症していたことが発覚。これを受け、厚労省は各労働局に対し、他の事業所でも同様の事例を確認した場合は報告するよう求め、今月19日までに把握した事例を集計した。

 この結果、全国6カ所の事業所で計8人のぼうこうがん発症者が出ていたことが判明した。全員にモカ取り扱いの作業歴があったほか、旧イハラケミカル静岡工場でも新たに4人が確認され、モカに絡んだ発症者は計17人にまで広がった。複数の専門家によると、同工場での発症率は不自然に高いという。

 厚労省によると、発症年齢は60代が10人と最も多く、12人が退職した後だった。労働安全衛生法に基づく省令では、モカを扱った労働者のがん予防や早期発見などのため、半年ごとに特別な健康診断を受けさせることを事業者に義務づけているが、退職すると健診対象から外れる。

 ぼうこうがんの多発とモカとの関連性を調べている労働安全衛生総合研究所の甲田茂樹所長代理(労働衛生学)は「長い時間がたってから発症する例が目立つ。発症のメカニズムを解明しないとはっきりは言えないが、退職後も健康状態を把握する仕組みが必要かもしれない」と指摘する。

 厚労省の関係者によると、発症者らに対して労災制度を周知するよう事業所側に要請してきたが、現時点でモカによる労災補償請求は1件もない。このため、厚労省は労働者本人や遺族に労災制度の仕組みや手続きを直接知らせる方向で検討し、同省補償課は「やり方や時期を慎重に考えたい」としている。

 【ことば】MOCA(モカ)

 主にウレタン樹脂を固める硬化剤に使われる化合物。世界保健機関(WHO)の下部組織の国際がん研究機関は2010年、人に発がん性があると認定した。厚生労働省によると、取り扱い作業歴のある労働者(退職者は除く)は国内で3700人を超える。

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