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余録

ヨーロッパ映画「少年と自転車」(2011年)は…

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 ヨーロッパ映画「少年と自転車」(2011年)は、施設に預けられた母のない少年が、父親に見捨てられる話だ。少年は悪い男に優しくそそのかされて強盗を犯す。男を父の代わりと信じたかったのだ▲2度裏切りにあった少年を養い親として迎え入れたのは、赤の他人の女性美容師だった。かつて父親に買ってもらった唯一の宝物である自転車を、女性の自転車と交換し、2人で走る場面には、信頼できる大人と巡りあえた喜びがにじんでいた▲監督のダルデンヌ兄弟は、日本で聞いた少年犯罪の実話を基に脚本を書いた。その少年はいつも施設の屋根に上って親を待っていた。「もう下りてきなさい」。そう職員に促され、人を信じなくなり、やがて重大事件を起こした▲高級店が並ぶ東京・南青山に、虐待にあったり非行に走ったりした少年少女を一時保護する児童相談所ができる。計画に一部住民が「街のブランド価値が下がる」と反対しているそうだ。どんな街でも景観や雰囲気は大切にしたい▲しかし、児童相談所が原子力発電所やゴミ焼却場といった「迷惑施設」のように嫌われるのだとしたら首をかしげる。建設に賛成の住民もいるだろう。ここは地域の良識を静かに見守りたい▲街には不思議な力がある。全て明るく整いすぎると、意外に平板で活気に乏しい。表通りがどんなに豪華でも、ちょっと裏道に入ったら思いがけない陰や生活の息吹を感じる時、街は生き生きと人間らしい顔になる。経済的評価だけが価値ではない。

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