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社説

大山古墳の共同発掘 「陵墓」調査の対象拡大を

 仁徳天皇陵と呼ばれ、5世紀ごろの築造とされる日本最大の前方後円墳・大山(だいせん)古墳で、古墳を管理する宮内庁と地元の堺市による共同発掘調査が始まった。

 大山古墳は、宮内庁が歴代天皇や皇族などの墓として指定した「陵墓」の一つだ。宮内庁は陵墓の保全や調査を一手に担い、外部の立ち入りは原則、認めてこなかった。

 発掘は12月上旬までで、墳丘の外周に巡らされた濠(ほり)の堤が対象となる。保全のための基礎調査という位置づけだが、堤の一部を掘削し、遺物収集もする。新たな埴輪(はにわ)などが見つかったり、より詳しい築造年代の特定につながったりする可能性もあるだけに、歓迎したい。

 宮内庁は899カ所の陵墓を管理している。立ち入り制限は、陵墓が皇室の祭祀(さいし)の対象であり「静安と尊厳」が必要、というのが理由だ。歴史・考古学関係団体の長年の要望に応じて2008年、限定的な立ち入りを認めたが、墳丘の最下段から観察させる程度にとどめていた。

 それが一昨年春、地元教育委員会や考古学者にも発掘調査への協力を要請するという新方針を公表した。今回の共同調査は新方針を踏まえた初のケースとして注目できる。

 陵墓は明治時代、当時の宮内省が文献や伝承をもとに定めた。だが埴輪や土器などから年代を特定する研究が進むにつれ、異論が出ている。

 大山古墳に関しても、周辺の天皇陵とされる古墳との築造順が、天皇の系譜と矛盾しており、被葬者が仁徳天皇とは言い切れない。多くの教科書で「仁徳天皇陵」から「大山(仙)古墳」などと表記が変わったのも、そのためだ。

 大山古墳を含む百舌鳥(もず)・古市古墳群について、政府は世界文化遺産への登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請している。

 だが、推薦書に「仁徳天皇陵古墳」などと記述されていることに日本考古学協会など学術団体は異議を唱えている。登録を目指す以上、学術調査は欠かせない要素であろう。

 古代史研究が進む中、陵墓に関してだけタブーとするのは、歴史的、文化的損失につながる。今回の発掘をきっかけとして自治体や研究機関との連携を進め、共同調査の対象を広げていくことを求めたい。

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