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社説

ブラジルに極右大統領 「大衆迎合」の不安な旋風

 ブラジル大統領選で極右・社会自由党のボルソナロ氏が、左派・労働党の候補者を破って勝利した。来年1月1日に就任し、自国優先を鮮明にした政権が誕生する。

     同氏はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を駆使し、強硬な発言から「ブラジルのトランプ」と呼ばれる。軍人から政治家に転身し、少数政党を渡り歩いたが、数年前まで無名に近い存在だった。

     勝因ははっきりしている。汚職のまん延や治安悪化、経済停滞に関し、国民の反発に乗じ、与党や旧来の政治家を声高に非難したからだ。

     労働党は長期政権を築いたが、2014年サッカー・ワールドカップ(W杯)や16年リオデジャネイロ五輪の前後から構造汚職疑惑などが噴き出し、政治家とその周辺で逮捕者が相次いだ。

     同党のルセフ前大統領は国家会計の不正操作で弾劾されて失職した。ルラ元大統領は汚職で収監された。ボルソナロ氏は左派政権や既成政党の失敗を利用してポピュリズム(大衆迎合主義)を奏功させたと言える。

     トランプ米大統領に見られるようなポピュリズムが世界に拡散している。欧州では昨年以来、反移民を掲げる極右政党がオーストリアとイタリアで連立政権入りした。ドイツでも極右政党がじわじわと支持を広げている。ボルソナロ氏は「ブラジル第一主義」を口癖ともしている。

     ボルソナロ氏に関しては気がかりな点が多い。まず同氏は1964年から85年まで続いた軍事政権を称賛している。民主化後33年を経たブラジルでタブー視されていた見解だ。

     また、女性や性的少数者、黒人に対し差別的発言を行ってきた。人権を重んじるブラジル憲法に照らし合わせれば不適切だろう。

     国際問題に関しては、国連人権委員会からの離脱を示唆したり、在イスラエル大使館のエルサレム移転を提案するなどしている。いずれもトランプ氏に追随するような策だが、ブラジルは本来、穏健な多国間外交が伝統ではなかったか。

     新興5カ国(BRICS)の一員であるブラジルは中南米の大国だ。ボルソナロ氏は勝利宣言で「憲法と民主主義、自由を守る」と語ったが、その言葉が本気なのかどうかを見極めねばならない。

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