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韓国最高裁

徴用工訴訟、新日鉄住金に賠償命令

徴用工訴訟の上告審が行われた韓国最高裁=ソウルで2018年10月30日、AP

 戦時中に日本の製鉄所で働かされた韓国人の元徴用工4人が損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁(大法院)は30日、新日鉄住金(旧新日本製鉄)の上告を棄却し、原告1人あたり1億ウォン(約1000万円)を支払うよう命じる2審判決が確定した。韓国での戦後補償訴訟で、日本企業への賠償命令が確定するのは初めて。元徴用工の請求権問題について、日本政府は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、日韓関係への影響は避けられない見通しだ。

 韓国で日本企業を訴えた同種の訴訟は14件あり、うち1、2審で賠償命令が出ている11件でも敗訴が相次ぐ可能性が高くなった。安倍晋三首相は30日、韓国最高裁の判決を「国際法に照らして、あり得ない判断だ。政府として毅然(きぜん)と対応する」と批判した。首相官邸で記者団に語った。

 元徴用工4人は、41~45年に新日鉄住金の前身の日本製鉄の製鉄所で自由を剥奪された状況で強制労働をさせられ、賃金の支払いも受けられなかったとして慰謝料を求めていた。

 裁判では、元徴用工の個人請求権が有効であるかが争点だった。最高裁は今回、判事13人による合議体で審理を行った。うち7人の多数意見として、原告が求める損害賠償は未払い賃金や補償金ではなく、「日本政府の朝鮮半島に対する不法な植民地支配などに直結する日本企業の反人道的不法行為を前提として請求する慰謝料」と指摘。日韓請求権協定の協議過程で、日本政府が植民地支配の不法性を認めていないことを根拠に「原告が求める慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれていたとみるのは難しい」と結論づけた。

 一方、2人の判事は「個人請求権は日韓請求権協定の適用対象であり、原告はその権利を行使できなくなった」と指摘。そのため、被害者に国家が適当な補償をしなければならないという反対意見を書いた。

 韓国政府は2005年、当時の盧武鉉(ノムヒョン)政権が、官民共同委員会で、日韓請求権協定資金に「強制動員の被害者補償問題の解決金などが包括的に勘案されている」と判断していた。判決を受けて韓国政府がその立場を変更するかが注目されたが、韓国の李洛淵(イナギョン)首相は30日の発表文で「司法の判断を尊重する」と強調しつつ「諸般の要素を考慮しつつ対応策を準備する」と明言を避けた。

 日本政府は、日韓請求権協定に基づき、韓国に紛争解決の協議を要請する方針。これが不調に終わった場合、両国に第三国を交えた仲裁委員会の設置や、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討する。外務省は30日、日韓請求権関連問題対策室を省内に設置した。

 この裁判を巡っては、12年5月、最高裁が元徴用工の個人請求権には日韓請求権協定の効力が及ばないとする初の判断を示して原告敗訴の2審判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻した。ソウル高裁は13年7月に賠償の支払いを命じる判決を言い渡し、新日鉄住金側が上告していた。【光田宗義、ソウル渋江千春】

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