メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

入管法改正案

自民部会了承も左右が挟撃 道険しく

代表質問での入管法改正を巡る主なやり取り

 外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管法改正案をめぐり、野党は29日の代表質問で「移民政策ではないのか」などと攻勢を強めた。自民党法務部会は改正案を了承したものの、党内には不満もくすぶり、法案成立に向けた道のりは険しそうだ。受け入れ拡大には幅広い環境整備も求められ、外国人労働者が安心して働けるよう社会保障制度に確実に加入してもらうこともその一つ。だが、母国に残してきた家族の医療費の扱いなど、制度上解決が必要な課題もある。

    「人権問われる」「移民政策だ」

     「これまで首相自身が否定してきた移民政策とどう違うのか」。立憲民主党の枝野幸男代表は代表質問で首相に批判の矛先を向けた。

     政府は、中小企業などの人手不足に対応するため、今国会で改正案を成立させ、来年4月からの導入を目指す。しかし、現時点では受け入れる外国人の規模や業種など具体的な制度内容はあいまいな部分が多い。これが野党の強い批判を招く結果となっている。

     枝野氏は「見切り発車では日本の人権レベルが国際社会から問われかねず大きな禍根を残す」とも批判。国民民主党の玉木雄一郎代表も「全体像が見えない」と同調し、実際にどれぐらいの外国人が定住するかなどをただした。

     自民党の代表質問に立った首相側近の稲田朋美筆頭副幹事長も、党内の不満を「代弁」するように「なし崩し的な移民政策につながるのではとの指摘もある」と質問。青山繁晴参院議員は29日の自民党法務部会で、「外国人の社会保険制度が間に合わない」と受け入れ態勢に懸念を示し「反対」を表明した。別の議員からは「多くの人は移民と思っている。(移民流入で混乱する)ドイツの失敗に学ばなければならない」との声も出た。首相にとって頭が痛いのは、自身と思想信条が近い保守系議員にも改正案に対する反発があることだ。

     与野党で評判が芳しくない改正案。しかし、安倍政権にとっては今国会の目玉法案との位置づけだ。衆院法務委員会メンバーの自民党議員は「天の声があるから、下々がいくら騒いでも変わらない」と述べ、首相の強い意向を踏まえ、早期成立を目指す考えを示した。

     自民党のベテラン議員は現状をこう評した。「安倍晋三という保守政治家が外国人の受け入れを進め、本来進めるはずのリベラルが反対する。不思議だ」【青木純、遠藤修平】

    医療・年金の整備進まず

     「日本で働きたい方が、安心して日本で生活できる環境を整えなければいけない」。外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管法改正案をめぐり、自民党法務部会に先立って議論した厚生労働部会の終了後、小泉進次郎厚労部会長はそう強調した。

     改正案で創設する新たな在留資格で受け入れる外国人も、要件を満たせば日本人と同様に医療保険や公的年金、雇用保険への加入が必要となる。

     ただ、現状でも、外国人労働者を雇用する事業所の未加入が問題視されており、放置しておけば必要な医療サービスや失業手当を受けられないことになりかねない。厚労省は2015年度以降、国税庁から給与支払い実績のある事業所の情報提供を受け、実態調査を進めている。また新たに、市町村や日本年金機構などと連携し、加入歴を把握する仕組みを創設する方針。通訳を置く医療機関への助成なども検討する。

     年金制度で問題になるのは、年金を受け取るために必要な加入期間。日本は10年で、これに満たずに帰国すると、日本で納めた保険料は無駄になる。厚労省は外国人労働者が日本と母国で保険料を二重払いしなくても済むようにする社会保障協定の締結を進めており、現在、協定発効国は欧米を中心に18カ国。厚労省は、協定を結んでいない国からの労働者でも「協定の考え方を尊重して対応する」としている。

     一方、国民に不公平感を生じさせかねない制度上の問題もある。民間企業の従業員が加入する健康保険は、「扶養家族」に国内居住要件がないため、海外に残した家族の医療費まで健保が負担することになる。厚労省は3月、扶養家族の認定には、公的な証明書を必須とするよう通知を出した。健保組合側は「各国の『公的証明書』を見定めるのは難しい」と実効性を疑問視している。

     自民党内には在留資格を偽っての医療機関の受診などを懸念する声もあり、小泉厚労部会長は「不公平感を放置したままでは、将来に不安を残しかねない」とも指摘した。【酒井雅浩】

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. ゆるキャラ GPは志木の「カパル」 注目の四日市は3位
    2. 兵庫・篠山市 「丹波篠山市」変更が賛成多数 住民投票
    3. 北海道 函館山ロープウェイ開業60周年 無料開放
    4. 高校ラグビー 大阪第3地区は常翔学園に
    5. 街頭演説 麻生氏「人の税金で大学に」 東大卒市長批判

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです