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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「バナナ・リパブリック(共和国)」といえば…

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 「バナナ・リパブリック(共和国)」といえば今や衣料ブランドを思い浮かべる方が多かろう。だがその昔は政情不安で指導層が腐敗した途上国を指す蔑(べっ)称(しょう)として用いられた。実はモデルとなった国々がある▲初めてバナナ共和国と呼ばれたのは中米ホンジュラスで、20世紀初めに米農業資本がバナナのプランテーション栽培を展開したからだ。バナナ栽培が広がった中米各国は米企業や米政府が牛(ぎゅう)耳(じ)るところとなり、時に武力干渉も受けた▲バナナ共和国の負の遺産が今も貧困と犯罪をまん延させるホンジュラスだが、そこから出発した移民集団だった。米国をめざす移動中にふくれ上がり、他の集団もあわせて約7000人がメキシコ南部やグアテマラで北上をうかがう▲トランプ米政権は移民集団の入国阻止のために米軍約5200人をメキシコとの国境地帯に派遣すると発表した。中間選挙を目前にしたトランプ大統領には、集団の北上が移民問題での強硬姿勢を正当化する格好の宣伝材料となった▲振り返れば、長らく米国の「裏庭」と呼ばれてきた中南米諸国である。時に米国の露骨な介入を受けてきたのもバナナ共和国と呼ばれた国々の歴史が示すところだ。その地域が移民を大量に生み出す原因に米国も無関係ではあるまい▲トランプ大統領からは移民集団の背後に民主党がいるなどという野党攻撃も飛び出たが、有権者は大統領の思惑通りの反応を示すのか。米国、いや世界の命運も左右する人々の「裏庭からの脱出」である。

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