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余録

無実の罪での死刑を受け入れた…

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 無実の罪での死刑を受け入れた哲人ソクラテスの言葉とされる「悪法もまた法なり」だ。脱獄は国法を破壊すると死を選んだ彼は法秩序の一貫性への人々の信頼、法学でいう「法的安定性」に殉(じゅん)じたのだ▲ソクラテスの故事の示す通り、およそ法的安定性と正義は司法の2大要請だが、時としてお互い矛盾することがある。一般の裁判では法の一貫性を曲げても正義が優先される場合があろうし、逆に法的安定性が尊重されることもある▲だがこちらは互いに正義すらも異にする国と国の条約からなる国際法秩序だ。それぞれの国益をもつ国同士の合意と、双方の努力なしには一貫性も安定性も保てないこの秩序である。それを根底から揺るがす韓国の司法判断となった▲戦時中に製鉄所で働かされた元徴用工への新日鉄住金の損害賠償を命じた判決が確定したという。植民地時代の個人請求権は53年前の日韓協定で解決済みなのは韓国政府も認めてきたが、過去の合意を覆す独善的な主張の突出である▲日本政府は断じて受け入れられないと応じたが、韓国では70社以上もの日本企業が提訴されていて今後への不安はつのる。韓国政府は司法判断の尊重を表明しつつも、対日関係の極端な悪化を避ける落としどころを探っているようだ▲「積弊清算(せきへいせいさん)」は過去の政権の悪弊を一掃するとの文在寅(ムンジェイン)政権のスローガンだ。従来の日韓合意を“悪法”とする司法判断もそれと無縁でなかろうが、法秩序への信頼に命をささげた哲人に恥じるところはないか。

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