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社説

強制不妊の与党WT案 幅広く救済するのは前進

 旧優生保護法によって障害者らが不妊手術を強いられた問題で、与党ワーキングチーム(WT)の救済案がまとまった。

     手術記録のない人、「同意」の上で手術された人も救済の対象とし、一時金を支給することが柱だ。

     強制不妊手術をされた人は約1万6000人、手術に「同意」した人も含めると計約2万5000人に上る。大半は手術記録が残っていない。長い年月が経過すると手術痕の確認も難しくなる。与党案が救済対象を広くしたことは当然である。

     今後、超党派議員連盟の救済案とすり合わせをした上で、来年の通常国会に法案が提出される。

     政府は法案に何らかのおわびの文言を入れる予定だが、被害者側からはおわびだけでなく、同法の違憲性を明示するよう求める声もある。被害者への一時金の額や、その趣旨についても調整が必要だ。

     当時、入所施設にいた障害者が侵入者に連れ去られた。売春のあっせん業者が障害者を探しに施設に押しかけた。そんな実例が1950年代に発行された家族会の機関誌に掲載されている。障害のある女性の性被害や不慮の妊娠は多かった。

     親自身も障害のある子を産んだことで周囲から責められ、偏見の目で見られる時代だった。国の定めた法律で不妊手術を求められたことにあらがえる人がどれだけいただろうか。形式的に「同意」した人も救済の対象にするのは妥当だろう。

     個々の救済については、第三者の専門家らによる認定審査会を設けて判断される。

     ただ、被害者に救済制度をどのように伝えるかは課題が残る。与党案は被害者からの自己申告があった場合に審査会で判断するといい、手術記録がある人にも「プライバシー保護」を理由に政府側からは通知をしないという。

     しかし、被害者の多くは認知や判断能力にハンディがある知的障害者である。事情を知る親族がいない人も増えている。自己申告をしなければ救済されないのでは、救済法が適用される人は限定的になるだろう。

     政府が責任を持って被害者に通知すべきではないか。自治体や障害者施設が協力し、一人でも多くの被害者を救済しなければならない。

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