メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

強制不妊手術

救済策「もっと声聞いて」被害者らと隔たり

旧優生保護法に関する与党ワーキングチームの会合で冒頭にあいさつする自民党の田村憲久座長(中央右)=衆院第2議員会館で2018年10月31日午後4時14分、手塚耕一郎撮影

 旧優生保護法下で不妊手術を強いられた障害者らへの救済策を検討している政府・与党のワーキングチーム(WT)は31日、救済法案の基本方針をまとめた。しかし被害者や家族、支援団体などが求める内容とは大きな隔たりがあり「当事者の意見やアイデアにもっと耳を傾け、想像力を働かせて」「障害の種類や程度は多様で、それぞれに合った丁寧な手続きを考えて」などといった提言や要望が相次いだ。

     「厚生労働省は加害者側であり、公正さに不安がある。水俣病や原爆症の場合、行政機関の下での認定で大量の切り捨てがあった」

     厚労省内に被害確認をする認定審査会を置くとのWTの基本方針に対し、北海道弁護団の小野寺信勝弁護士は行政から独立した認定機関の新設を求める。さらに「救済対象が不妊手術だけで、同時に手術された人工妊娠中絶は除外している。いずれも旧法に基づく人権侵害だ」と語り、中絶も対象にすべきだと訴えた。福岡弁護団の岡部信政弁護士も、配偶者や中絶した人も「救済対象から外す理由はない」と強調する。

     一方、「厚労省の認定審査会に、知的障害の特性を知る人をメンバーに加えてほしい」と語るのは、知的障害者の家族らでつくる国内最大の民間団体「全国手をつなぐ育成会連合会」の久保厚子会長。「知的障害者は意思表示の難しい人や被害を認識できていない人もいて、自己申告のハードルは高い。申告できても、過去の話をうまく伝えるのは容易ではない」と語り、会として申請手続きを希望する当事者を支援するという。「支援団体からの申請も受け付けるよう柔軟な手続きを認めてほしい」

     「深い反省とおわび」方針には非難が噴出。久保会長も「何に対してのおわびかが不明確。なぜ半世紀も国が旧法をそのままにしたのかに触れた上で間違いだったと明示すべきだ」と指摘。仙台地裁に初の国家賠償請求訴訟を起こした宮城県の60代女性を支える義姉も「反省しているなら、被害記録のある全員に事実を伝えるのが筋では」と疑問を投げかける。

     DPI北海道ブロック会議の山崎恵事務局次長は「記録がなくても救済対象にするという点は評価できる。だが、家族にも知られたくないと思うほどの事柄にもかかわらず、自ら申請に足を運べるだろうか」。家族が「加害者」としての負い目を感じている場合も想定し、「本人の状況にあった意思確認と同時に、家族のフォローなど両面からのアプローチが必要だ」ときめ細かな対応を提案する。

     全国優生保護法被害弁護団の新里宏二共同代表は「内容的に不満はあるが、与党が救済制度の骨子案を出すこと自体は前進だ」と一定の理解を示す。だが、記録のある当事者に通知をしない方針には「本気で一人でも多くの人を救済する気があるのか」と不信感をにじませた。【日下部元美、平川昌範、岩崎歩、遠藤大志】

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 橋爪功 「まんぷく」を朝ドラと知らず出演快諾 「泥臭く人間臭いドラマになれば」と
    2. 健康対策 米、メントールたばこ禁止方針
    3. キイレツチトリモチ まるでキノコ、珍種が開花 牧野植物園 /高知
    4. 6さいからのニュース シャンシャンおやばなれへ
    5. クローズアップ2017 特養、受け入れ敬遠 国の制限「意味ない」

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです