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社説

就労外国人 日本の転機 ごまかしから卒業しよう

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 日本社会の将来を設計するのに避けては通れない重大なテーマが、臨時国会で本格的な議論を迎えようとしている。外国人労働者の受け入れ拡大と、その態勢整備だ。

 沈黙する羊の群れのように「安倍1強」に従ってきた自民党が、珍しく熱心に意見をぶつけ合った。政府が今国会に提出予定の入管法改正案をめぐり、党法務部会による事前審査は異例の計6回におよんだ。

 この法案の持つインパクトの大きさを、多くの議員が感じ取っているからにほかならない。「リハーサルのない壮大な社会実験になる」と難色を示す右派系の議員もいた。

 しかし、実際にはリハーサルどころかすでに本番が始まっている。過疎地で不可欠な存在

 青森県津軽地方の平川市では今年1月時点の外国人居住者が前年より25人増えて60人になった。市内の縫製工場などで働くカンボジア人や中国人の技能実習生が増えたためだ。

 鹿児島県薩摩半島に位置する南さつま市では62人増えて149人に。やはり市内の精密機械工場などが実習生を迎え入れた。主にベトナム人とインドネシア人だという。

 総務省の集計によると、本州の北と南にある両市が、外国人の増加率でトップ3に入っている。

 これは偶然ではない。都道府県別の増加率トップは16・6%増の熊本県。以下、鹿児島県、宮崎県、島根県、富山県と続く。過疎地を抱える地域で増えているのは明らかだ。

 外国人労働者はすでに都市部を越え地方でこそ不可欠の存在になっている。しかも、その多くが「就労を目的としない在留資格者」だ。

 日本で働く外国人は約128万人。5年間で2倍に増えた。このうち、留学生のアルバイトなど「資格外活動」が29・7万人、途上国の若者への技術移転を建前とする技能実習生が25・8万人を占める。

 日本の入国管理政策はいまだに「単純労働は受け入れない」を原則にしている。その建前を維持するための明白なごまかしだ。

 今回、政府はあらかじめ指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に「特定技能1号」を、1号資格者でさらに優れた人材には「同2号」の在留資格を付与することにした。事実上の政策転換だが、菅義偉官房長官は「今まで国として明確な方向性が欠けていたから、今回明確にする」と語っている。

 しかし、政府が打ち出した新制度案は、従来のごまかしの延長線上で体裁を取り繕おうとするものだと言わざるを得ない。

 最大の問題点は、技能実習制度を温存し、特定技能1号の資格者について技能実習生からの移行を前提にしていることだ。

 在留期間は、実習生と1号の資格を合わせると最長10年になる。雇い主から見れば、日本語教育などのコストをかけても十分回収できる。政府にすれば、家族の帯同を認めないから、公費投入も最小限で済む。新在留資格は一本化を

 就労外国人が急増している最大の理由は、元気で働ける生産年齢人口の急速な減少だ。高齢化と過疎が同時進行する地方は、外国人抜きでは成り立たなくなりつつある。

 ならば、技能実習制度を隠れみのにしたようなルートをやめ、正面から労働者として受け入れる在留資格の新設に一本化すべきだろう。

 人材の国際移動はグローバル化の反映でもある。1年以上外国で暮らす人を「移民」と定義する国連の統計では、21世紀に入って移民数は急増している。日本の都合だけで若い外国人を欲しがっても、日本が「選ばれる国」である保証はない。

 入ってくるのは「労働力」という生産要素ではなく、生身の人間だ。たとえ期限付きの在留でも、生活者として日本社会の一員になる。

 日本語教育や医療、生活相談など外国人が安心して日本で暮らせる態勢の整備は、その人びとに頼る日本が公的に支払うべきコストである。短期的な人手の補充を優先している限り、そっぽを向かれるはずだ。

 在留期間の更新が可能な特定技能2号の資格をめぐっては、すでに「移民と認めよ」「いや認めない」という論争が起きている。

 社会の同質性が強い日本で今すぐ結論を出すのは性急かもしれない。ただし、受け入れを拡大していけば必ずどこかで外国人の永住を認めて移民国家になるかどうか、選択を迫られる時が来る。その問いに答えを出す作業がこれから始まる。

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