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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/92 第二話 姑の墓=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

 丘のてっぺん、丸太の階段の最後の一段では、お母ちゃんとお恵とお花の三人が肩をくっつけて並んで手を繋(つな)ぎ、

「そぉら!」

 声を揃(そろ)えて、一緒に足を踏み出した。

 誰が最初なのでもない。誰のせいでもない。かがり屋の女三人が、同時に古いしきたりを破ったのだ。

 丘の頂上は平らで、村の各家ごとに柵で仕切られた墓所が、うらうらと陽(ひ)ざしを浴びていた。桜や杏(あんず)や桃や梅の木に混じって、樫(かし)や橡(くぬぎ)の木も生えている。そうした緑の木々が憩いの日陰をつくり、花木はのびのびと枝を伸ばして、今が盛りと咲き誇っていた。

 かがり屋の女三人は、初めてそこから見おろす春爛漫(らんまん)の下界の眺めに、ひととき、言葉を失った。

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