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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/93 第二話 姑の墓=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

 丘の墓所には石で囲んだ雨水溜(だ)めを設けてあるので、掃除にはそこの水を汲(く)み出して使う。桜が咲き出す前は春雨が続いていたので、水はたっぷり溜まっていた。

 お花は一心に働いた。ときどき顔を上げてみると、お母ちゃんやお恵と目が合った。その目の輝きに、いっそう心が弾んだ。

 かがり屋の柵の内側を浄(きよ)めるのは、いちばん最後にとっておいた。村長(むらおさ)の許しをもらって、村の代表で掃除に来たのだから、自分のところは後に回すのが礼儀というものだ。

 お祖母ちゃんが亡くなって以来、かがり屋に不幸はない。盛り土はほとんど平らになっており、その上に桜や杏(あんず)の花びらがたくさん落ちていた。

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