全国から集まった小中学生が頬を紅潮させ、その隣で両親や祖父母はもっと興奮した顔をしていた。8月19日に東京・渋谷であった、平成最後の大会となる算数オリンピックの表彰式。
小学3年生以下の部の最優秀者に贈られる「長尾賞」に決まった浜松市の桜井純之介さん(9)は、はにかみながらトロフィーを受け取った。同賞は早世した数学者、長尾健太郎さん(2013年、31歳で死去)の業績をたたえ、14年に設けられた。表彰状を授与したのは長尾さんの父二郎さん(69)だ。壇上から子供たちに、「この中でいったい何人の方が数学の道に歩まれるだろうか」と目を細めて語りかけた。
算数オリンピックは「算数の分野で思考力と独創性を競う」と銘打ち、毎回数千人が参加する。運営する算数オリンピック委員会の若杉栄二理事長(74)によると、長尾さんは小学6年だった1994年の第3回大会で入賞し、中国・北京であった算数大会に招待された。そこで著名な数学者と面会した記憶は長尾少年の心に鮮やかに刻まれ、3年後に国際数学オリンピックに挑み、数学を生涯の仕事とする原体験となった。
この記事は有料記事です。
残り4572文字(全文5051文字)
毎時01分更新
小中学校で「臨時教員」への依存度が高まっている。文部科学省…
米国のバイデン新大統領が就任し、注目されるのが米中関係だ。…
仙台支局の記者からバトンを受け継ぎ、福島支局の記者が福島県…