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社説

党首退くメルケル氏 EU束ねられる後継者を

 ドイツのメルケル首相が自ら率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)の党首を退くことを決めた。

     首相職は2021年の任期切れまで続けるというが、国内外での指導力低下は避けられないだろう。

     4期13年にわたって独首相を務め欧州連合(EU)をけん引してきたメルケル氏の退潮は、国際社会にも影響を及ぼしかねない。

     党首退任は、直接的には州議会選で敗れた結果を受けての決断だ。その伏線として他党と組んだ連立政権は、難民・移民受け入れの是非をめぐり対立し、内輪もめ続きだった。

     中道既成政党の衰退と長期政権への有権者の飽きと並行して噴き出した難民問題は、反移民の右派の台頭を呼び、メルケル氏の足元を弱めたと言えよう。

     メルケル氏は00年に党首に就き、05年にドイツ初の女性首相となった。ユーロ危機の対処に主導的役割を果たし、難民危機では大勢のシリア人らを寛容策で受け入れた。

     一方で、国際会議の席でトランプ米大統領の自国第一主義や保護主義に真っ向から反発し、国際協調や自由貿易を唱える欧州の防波堤的な存在だった。ドイツの利益と国際社会のバランスを巧みに保ち政治的手腕を発揮してきた。

     しかし、3年後の政界引退まで公言したからには、影響力の維持が困難になると予想される。

     欧州には今、メルケル氏のような調整能力にたけた強い指導者が見当たらない。EU改革を進めようとしているフランスのマクロン大統領は、まだ就任2年目の上、内政に不安を抱える。イタリアは極右政党の入った連立政権が今年、旗揚げしたばかりだ。英国は来年3月、EUから離脱する。

     EU内では難民問題をめぐりイタリアや東欧諸国が反移民の立場で、分断傾向が深刻になっている。財政規律をめぐる対立もある。将来的に英国を除く27カ国を束ねられる新たな強い指導者が必要になってくる。

     CDUの党首選は12月に行われる。ポスト・メルケルをにらみ、継承派と批判派が候補に名乗りを上げている。

     焦点は自由と民主主義に重きを置くEUの安定を維持できる後継者が選ばれるかどうかだ。

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