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大阪

愛媛生まれクロサイがデビュー 「都会恐怖症」克服

展示場でエサを食べるクロサイのライと飼育員の中山宏幸さん=大阪市天王寺動物園で2018年10月30日、山崎一輝撮影

 大阪市天王寺動物園で飼育されている希少動物のクロサイが今夏、極度の「都会恐怖症」から脱し、来場客に元気な姿を見せられるようになった。2016年に繁殖を期待されて愛媛からやって来た雄のライ(7歳)。騒がしい都市部の環境になかなかなじめず、寝室や非公開の獣舎にこもりがちだった。デビューまで約2年半を費やした道のりには、担当飼育員との「二人三脚」の地道な訓練があった。

 ライは11年冬、山あいの愛媛県立とべ動物園(砥部町)で生まれた。愛媛では来場客を怖がるそぶりはなかった。しかし16年2月、親元を離れて天王寺に移ると、急激な環境の変化に様子が一変。人前に出ることを嫌うだけでなく、寝室の扉に体当たりしたり、天井の蛍光灯を壊したりして暴れ回った。

展示場でエサを食べるクロサイのライ。左奥はあべのハルカス=大阪市天王寺動物園で2018年10月30日、山崎一輝撮影

 通天閣など観光地に囲まれる天王寺動物園は繁華街にあり、多くの親子連れらが訪れる。ライは子供のはしゃぎ声や、周辺の阪神高速を通る車のクラクション音におびえパニックを起こすことも。飼育担当の中山宏幸さん(44)は「展示場に顔だけ出し、奥の寝室に引き返す状態が1年以上続いた」と明かす。クロサイは神経質な動物として知られるが、これほど長期間に及ぶのは珍しいという。

クロサイのライのために展示場にエサを運ぶ飼育員の中山宏幸さん=大阪市天王寺動物園で2018年10月30日、山崎一輝撮影

 中山さんはさまざまな工夫を凝らした。その一つが好物の牧草の固形物をのせた木製板を使った「おびき出し作戦」。寝室で慣れさせた板を1日数十センチずつ動かし、屋外展示場の中心部まで誘い出した。約50メートルの距離を1カ月間で3メートルしか進めない時期もあったが、ライは少しずつ移動距離を伸ばした。

 都会の騒がしさに慣れてもらおうと、寝室でラジオをかけたりする一方、屋外展示場の片隅に草木で人工のやぶを作ってライが身を隠して落ち着ける空間を設けた。ライの様子は少しずつ変わり、今年7月から雌のサミア(5歳)など他の2頭と同じく1日数時間、来場客の前で餌を頬張るなど愛くるしい姿を見せられるようになった。

 都会暮らしに慣れ始めたライには、サミアとの繁殖に期待が高まる。日本動物園水族館協会(東京都)によると、絶滅危惧種のクロサイは国内に22頭おり、各地の動物園は飼育数を維持するため繁殖に力を注ぐ。中山さんは「ライの次の目標は愛妻家。サミアとの新婚生活で子宝に恵まれてほしい」と笑った。【柴山雄太】

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