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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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禁酒を約束し合った酒飲みの親子。結局お互い隠れて酒を飲み…

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 禁酒を約束し合った酒飲みの親子。結局お互い隠れて酒を飲み、酔ったおやじが息子に説教して「こんな顔が二つも三つもある化け物に身代(しんだい)は譲れない」。対する息子は「こんなぐるぐる回る家なんか要らねえ」▲落語「親子酒」の家ならぐるぐる回ろうと、身内の顔がいくつに見えようと大過ないが、それで自動車を運転するのは犯罪である。まして多数の乗客をのせた航空機の操縦となれば……思わず天を仰いだ先日の英国からのニュースだ▲JALの日本人副操縦士から基準を超えるアルコールが検出されたとして英警察に逮捕された事件である。ロンドン発羽田行き便の乗務直前に送迎バスの運転手の通報で発覚したとのことで、副操縦士は前夜の大量飲酒を認めている▲不審なのは乗務前の社内検査をパスしたことで、検査機器を欺いたのか。実は前日の深酒でパイロットが乗務できない事例は最近相次いでいる。だが国内法令には呼気アルコール濃度の基準値がなく、導入はこれから検討するそうだ▲「乗員で最も安全に必要なのは、ずけずけものがいえる腕利きの副操縦士だ」と航空安全の専門家はいう。過去の事故分析から機長の見落としや思い込みに異を唱える副操縦士が惨事を防ぐ鍵というが、その酒びたりは想定外だろう▲他人の酒の失敗をあげつらうのは気が引けるわが身だが、こと安全については常に最高の職業倫理が求められて当然のパイロットだ。前夜の深酒とはてんびんにかけてほしくないプロのプライドである。

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