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社説

米国のイラン制裁再開 矛盾に満ちた大国の独善

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 超大国による独善的な強硬策が矛盾を露呈したと言えよう。

     イラン核合意から離脱したトランプ米政権は、イラン産原油の輸入禁止を各国に求める経済制裁を再び発動した。核合意参加国の懸念を押し切って、産油国イランの収入源を断ち、圧力を強めたいようだ。

     場当たり的な対応を際立たせたのは、発動期限ぎりぎりに方針転換したことである。制裁と同時に一部の国を禁輸対象から一時的に除く意向を示した。日本など輸入の多い国々が除外されるという。

     当初は除外を認めない考えだったが、イランが輸出できなくなればなるほど原油が不足し価格が世界的に高騰する。米国に波及する事態も考慮せざるを得なくなったのだろう。

     国際的な原油相場は先月、約4年ぶりの高値に上昇した。車社会の米国の消費者はガソリン価格に敏感だ。与党・共和党の苦戦も伝えられる中間選挙が6日に迫り、有権者の反発を避けたかったとみられる。

     はっきりしたのは、トランプ政権の一方的な制裁は結局、米国経済に跳ね返ってくるということだ。

     トランプ政権は禁輸除外の期間を180日と限定している。中間選挙を乗り切れば、再び禁輸を迫ってくるとみられる。除外で一服した原油価格が再上昇する恐れがある。

     日本の石油元売り各社は制裁を見越し、先月からイラン産の輸入を停止している。ガソリン価格は一時、1リットル=160円と約4年ぶりの高値をつけた。除外で再開を探る動きも見込まれるが、本格化は難しい。

     世界経済は既に米国発の貿易摩擦で悪化の危険にさらされている。加えて原油価格がもっと高くなると、世界経済を冷え込ませかねない。そうなれば米国経済にも打撃だ。

     トランプ大統領はこれまで石油輸出国機構(OPEC)に増産を求め、応じないOPECに価格高騰の責任を押しつけてきた。だが筋の通らぬ言い分であることは明らかだ。

     そもそも核合意からの離脱が理を欠く。合意はイランと英仏独中露の参加国で今も維持されている。

     日本政府も合意を支持している。だが制裁を巡って菅義偉官房長官はきのう「情勢を注視する」と述べただけだ。国際合意に背を向ける米国に再考をきちんと求めるべきだ。

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