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池内 紀・評『あの映画に、この鉄道』川本三郎・著

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駅や鉄道のたたずまいが心象風景を物語っている

◆『あの映画に、この鉄道』川本三郎・著(キネマ旬報社/税別2500円)

 映画を見ていて鉄道を思い出す。鉄道に乗っていて、映画を思い出す。映画と鉄道という、まるきりの異分野が、こんなに親密に関係づけて語られたのは初めてのことだろう。映画評論家が、たまたま大の鉄道好きで、映画に使われた駅や路線をさがしあて、その駅に降り立ったり、その路線の乗客になってみた。ひそかにたのしんでいたのが、つもりつもって、ここでは二百数十本の映画にわたり、それぞれに応じる駅や風景が語られている。

 ホビーから始まった趣味性のつよい本のようだが、それは見かけのこと。気がつくと、日本の鉄道の思いがけない数々の特性がさりげなくちりばめてある。

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