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社説

ロヒンギャ難民の帰還 安全の確保が欠かせない

 深刻な人道危機の悪化を食い止められるか、重要な局面となる。

     ミャンマーからバングラデシュに逃れていた少数派イスラム教徒、ロヒンギャ難民のミャンマーへの帰還が月内に予定されている。第1弾は2000人規模を想定している。

     ロヒンギャへの迫害は昨年8月、ミャンマー西部ラカイン州での武装組織と治安部隊の衝突が拍車をかけた。70万人以上が難民としてバングラデシュに逃れた。

     避難先のキャンプでは性的暴行や人身売買が深刻化している。安全な帰還を実現していくことが、救済への大きなステップになる。

     だが、不安要因は多い。昨年の衝突以来の経過について、国連人権理事会は今年8月、「ジェノサイド(大量虐殺)」に当たる可能性を指摘し、「ミャンマー国軍が迫害の主犯」と非難する報告書を発表した。ところが、ミャンマー当局はこの報告書の受け入れを拒絶している。

     帰還難民の受け入れ態勢の整備も課題だ。ミャンマー政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国連開発計画(UNDP)の2機関との間で、難民の安全な帰還に向けて協力する覚書に署名した。だが、具体的な準備が進んでいるかは疑問視されている。

     今回、ミャンマー政府が改めて帰還開始に合意したのは、来週の東南アジア諸国連合(ASEAN)など一連の国際会議での批判を避ける狙いからだったともみられている。現状では、安全な帰還を危ぶむ見方が出るのも当然だろう。

     それだけに、ミャンマーの実質的指導者であるアウンサンスーチー国家顧問兼外相の負う責任は大きい。

     スーチー氏はロヒンギャ迫害に関与した国軍の責任追及に消極的な姿勢を変えていない。

     今年9月には、ミャンマーの裁判所が迫害問題を取材していたロイター通信のミャンマー人記者2人に有罪判決を言い渡した。民主化の後退を象徴するような対応である。

     ロヒンギャ問題に関し、スーチー氏は「民主化への過渡期」だと釈明している。異教徒であるロヒンギャより、多数派の仏教徒への配慮を迫られる事情などが指摘されている。しかし、人道問題を起こした当事者として正面から向き合うべきだ。

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