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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/96 第二話 姑の墓=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

「--もちろん、お恵さんは事切れておりました」

 春の陽(ひ)ざしは明るく、黒白の間の隅々まで照らしている。しかし、上座で語る今のお花の顔には影が落ちていた。

 聞き手の富次郎は、いつの間にか膝の上で両手を固く握りしめていた。そのなかに冷たい汗をかいていた。

「母の方も無事では済みませんで、それ以来、まるで置物のようになってしまったんです」

 呼吸(いき)はしている。だが口をきかない。誰が呼びかけても応じず、瞳は曇ってしまって焦点が定まらない。

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