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社説

米中間選挙とトランプ政権 「憎悪の政治」に終止符を

 憎しみや対立をあおり、時に暴走とも独走とも映るトランプ米大統領の政治に、女性たちが敢然と「待った」をかけたように映る。

     米国の中間選挙は上院で共和党が過半数を保つ一方、下院は民主党が過半数を奪還し、政権与党の共和党が上下両院を握る構図は崩れた。

     大きな揺り返しである。その原動力となったのは、トランプ政治に対する女性たちの疑問と怒りだろう。

     中間選挙に出馬した女性候補者は上下両院で計250人を超え、過去最多を更新した。下院で当選した女性候補の圧倒的多数は民主党だ。

     その中には先住民とイスラム教徒も含まれる。先住民やイスラム教徒の女性が下院議員になるのは初めてで、イスラム蔑視や女性差別が指摘されるトランプ氏への反発が追い風になった。

    女性が「待った」かける

     米CNNなどの世論調査によると、両党に対する男性の支持はほぼ拮抗(きっこう)するが、女性では約6割が民主党を支持した。学校での乱射事件を受けて銃規制を訴える若者たちが、規制反対の共和党候補を批判する動きもあった。

     米国社会では、セクハラを告発する「#MeTоо」運動が高まっている。女性たちは、「米国第一」主義を掲げるトランプ氏の政治が、少数者差別や白人至上主義、男性中心主義に通じることに、いち早く気付いたのではなかろうか。

     とはいえトランプ与党の敗北とも言いがたい。上院は共和党が議席を伸ばす勢いだ。定数(100)の3分の1ずつ改選される上院選で、今回40人以上の共和党議員が非改選だったのは確かに有利だった。

     だが、4年の大統領任期の真ん中で行われる中間選挙は与党に厳しい審判が下るのが常だ。好調な経済下での「とてつもない成功」(トランプ氏)とは言えないが、痛み分けとも見える上下両院の「ねじれ」は民意の分断を象徴している。

     この選挙は、中米からの移民希望者の列(キャラバン)が米国に押し寄せる中で行われた。トランプ氏は「侵略」という言葉を使ってキャラバンを警戒し、軍を国境地帯に派遣する異例の措置を取った。

     これが保守層の結束を促したのは間違いないが、一方では移民をテーマに政権・共和党側が作成した選挙広告が「人種差別的」との批判を浴び、政権寄りのメディアも放映を見合わせた。軍派遣への「過剰反応」批判も含めて、行き過ぎがクローズアップされたのは、トランプ氏にとって誤算だったはずである。

     移民への対応は欧米に共通する難しい問題であり、移民希望者を力ずくで追い返せば片付くわけではない。トランプ氏の言動が人種差別的な傾向を帯び、移民社会でもある米国の精神と真っ向から対立していることを憂慮せざるを得ない。

    懸念は大統領令の乱発

     今後、トランプ氏の議会対策が難しくなるのは間違いない。ロシアとの癒着疑惑などに関するモラー特別検察官の捜査によっては、下院で大統領弾劾の動きも出てこよう。疑惑解明に向けた民主党の議会活動も活発化するだろう。共和党主導の下院とは事情が全く異なるはずだ。

     2020年大統領選での再選をめざすトランプ氏には望ましくない状況である。心配は二つある。

     一つはオバマ前政権時に見られたように、大統領と議会の対立で「決められない政治」が続くこと、もう一つはトランプ氏が業を煮やし、議会の同意を要しない大統領令を乱発して強引な措置を取ることだ。

     その場合、対外政策が中心になりそうだが、政権の実績を上げようとして日本を含む友好国に無理難題を押し付けたり、スタンドプレーに走ったりすることも懸念される。

     特に心配なのが北朝鮮への対応だ。中間選挙の結果を見て北朝鮮が対米姿勢を微妙に変えることも予想される。場当たり的とも言われるトランプ氏は、くれぐれも軽はずみな対応をしないでほしい。

     今の世界では「ミニ・トランプ」とも言うべき強権型の指導者が増えている。だが、国際協調に背を向けて自国の利益を強引に追求する政治スタイルの限界は、今回の中間選挙ではっきり見えたのではないか。

     意外性を政権の求心力に利用する傾向があるトランプ氏はこの際、協調重視の新しい政治スタイルを模索してはどうか。対立をいとわず憎しみをテコとするような政治は、もともと超大国に似合わない。

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