先月、高松で開かれた日本財政学会で「正貨流出問題」について報告した。と言われても聞いたことがないという方がほとんどだと思うが、明治37~38(1904~05)年の日露戦争後の深刻な経済問題だった。日露戦争では、国家財政の7倍もの戦費を費やしながら、ロシアからは一銭の賠償金も取れなかった。経済が大きく成長するということもなかった。そのような中で、膨大な戦時外債の償還負担が、日本経済を圧迫することになったのが「正貨流出問題」である。
夏目漱石の三四郎という小説がある。熊本から上京する汽車の中で相席になった男(広田先生)と日露戦争の話題になって、三四郎が「これからは日本もだんだん発展するでしょう」と言うと、かの男はすまして「滅びるね」と言った。三四郎が朝日新聞に連載された明治41年は、日露戦争後の反動恐慌の中で戊申(ぼしん)詔書が出された年である。今日ではすっかり忘れられているが、教育勅語、軍人勅諭と並んで明治の3大詔書とされ…
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