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スバルがまた検査不正 目を覆うガバナンス不全

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 SUBARU(スバル)がまた、完成車の検査不正に伴うリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。

 無資格者による検査が発覚した昨秋以降、4回目になる。経営トップが記者会見で、何度頭を下げても不正がやまない。ガバナンス(企業統治)の不全は目を覆うばかりだ。

 今回のリコール対象は今年1月9日から10月26日に国内向けに生産された9車種の計10万台余り。

 無資格検査や燃費・排ガスデータの改ざんなど一連の検査不正による累計リコール数は53万台に達する。

 同社では6月に、それまでの不祥事の責任を取って社長が辞任し、中村知美社長が就任した。

 中村社長は「企業風土改革」を最優先課題に掲げた。1カ月前には、「不正は昨年末まで」との終結宣言を出したばかりだった。

 スバルは戦前の中島飛行機の流れをくみ、高い技術力で多くのファンを獲得してきた。そんな名門企業でなぜ、不正が繰り返されるのか。

 中村社長は「急成長に伴うひずみなどがあったのではないか」と説明した。確かに同社の世界販売台数は、この10年間でほぼ倍増した。

 しかし利益を上げるために生産性を重視するあまり、検査をなおざりにすることは許されない。消費者に対する重大な背信であり、自動車メーカーの生命線である安全への信頼は大きく損なわれた。

 深刻なのは、「企業風土改革」の意識を経営者と現場の従業員とが共有できていないことだ。経営トップが号令をかけても、どこかでゆがんでしまう。その原因を探り、改めなければ根深い不正の芽は摘めまい。

 社内の監査機能欠如も大きな問題だ。度重なる不正は社内では見つけられず、弁護士らの外部チームの調査によって明らかにされた。今回も国交省の立ち入り調査がきっかけだった。

 中村社長は記者会見で、検査不正は「必ずこれで終わりにする」と述べた。再発防止のために検査の監視員を配置したり、検査員の負担を軽くしたりする対策を取るという。

 信頼を取り戻すには、安全を最優先する自動車メーカーの原点に立ち返るしかあるまい。それには全社を挙げた意識改革が必要だ。

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