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社説

就労外国人 健保の適用範囲 新方針に適合する改革を

 外国人労働者の受け入れ拡大政策に伴い、企業の従業員が加入する健康保険の対象を海外に住む扶養家族にも適用するかどうかが論点として浮上している。

     企業に勤める人は国籍に関係なく健康保険組合や協会けんぽに加入し、扶養を受けている3親等内の親族にも保険が適用される。現在は海外に住む扶養家族も保険の対象だ。外国人労働者の増加に伴い、家族の医療費も増えることが想定される。

     背景には、留学ビザで来日した外国人が国民健康保険に入って高額な医療を受けたり、日本に居住している外国人の家族が来日して高額医療を受けたりする例がいくつも報告されていることが挙げられる。

     日本には高額療養費制度がある。医療費が年間1000万円を超えても自己負担は月数万円程度で済む場合もあり、残りは健保から賄われる。

     日本の高額医療を安く受けるために、留学や就労の制度を悪用する実例が散見されるようだ。中国などにはそうした「脱法行為」を仲介するサイトさえあるという。

     だからといって、外国人の扶養家族だけ除外するのは差別とも指摘される。健康保険は労働者が安心して働けるように、扶養家族も対象として制度化された。外国人であっても日本国内で働き、企業や社会に貢献している以上、その扶養家族も対象にするのが筋ではある。

     ただ、現在はさまざまな国から来た多数の外国人が日本で働く時代だ。真の来日目的や、母国に住む「家族」の扶養関係を実務的に証明するのは難しい。自治体や健保組合のチェックにも限界がある。

     厚生労働省は健康保険の対象とする扶養家族について、国籍を問わず一律に国内居住の要件を付した上で、海外にいる日本人留学生などを例外にする案を検討している。

     同じ健保の制度内で差異を設けることにはなるが、当初は想定していなかった事態だけに、対処方法を探るのはやむを得ないだろう。

     健康保険は加入者の信頼を土台に成り立つ共助の仕組みである。制度の穴をくぐっての「ただ乗り」を放置していたのでは信頼が揺らぐ。

     外国人労働者の人権や公平性に配慮しつつ、加入者が納得できる制度改革に努めるべきだ。

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