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北海道地震

特養被災者に「福祉仮設住宅」 全国初整備へ

北海道の「福祉仮設住宅」のイメージ

 北海道胆振東部が震源となった9月の地震で、道は、被災した特別養護老人ホームや障害者施設の入所者全員が震災前に近い形で共同生活を送ることができる大型の「福祉仮設住宅」を整備する方針を決めた。年内の入居開始を目指す。東日本大震災など過去の大規模災害では、被災施設の入所者がばらばらに避難生活を強いられ、環境の急変で健康状態が悪化する2次被害が深刻な問題となっていた。専門家によると、全国初の画期的な取り組みといい、これからの災害対応として注目が集まりそうだ。

 道は特養施設の基準では必要な特殊なバリアフリー浴槽なども設置する方針だが、災害救助法で定める応急仮設の想定外で、国と費用負担などの最終調整をしている。

 道によると、地震で建物が使えなくなったのは、最大震度7を観測した厚真町の特別養護老人ホームと障害者施設(利用者計約100人)、安平町の特別養護老人ホーム(同30人)の計3施設。入所者たちは現在、道内の別の福祉施設に分散避難中で、約100キロ離れた十勝地方に移った人もいる。道は両町に「福祉仮設住宅」を1カ所ずつ造り、元のコミュニティーで避難生活を送れるようにする。

 建物は、いずれも同法に基づく軽量鉄骨造りの応急施設で、構造上、大規模な建物にはできない。このため、介護の程度などによってグループに分けた上で、入所者が一緒に生活できるよう小規模の居住棟を複数建設し、食堂や浴室などのある共有棟と屋内廊下で結ぶ。車椅子やストレッチャーに乗ったまま施設内を移動でき、職員の介護負担も減らせるという。

 被災した安平町の追分陽光苑を運営する社会福祉法人「追分あけぼの会」の村上典隆総合施設長は「環境、介護の手、関わる病院が変わるだけで利用者には大きなストレスになり、災害関連死にもつながりかねない。被災者である職員も、分散した場所でのケアは大きな負担となる」と早期の入居を期待する。

 災害時の福祉問題に詳しい東北工業大建築学科の石井敏教授によると、東日本大震災や熊本地震でも福祉施設が被害を受けたが、新しい施設ができるまで他の施設に分散させたり、10人程度のグループホーム型仮設住宅に居住したりすることが多かった。「特養などの施設利用者がまとめて入ることができる規模の施設は過去に例がない。施設利用者ができるだけ早く元の環境に近い形で暮らせるようにすることが重要だ」と評価する。

 道は、寝たきりの人も入浴できるバリアフリーの浴槽など特養の基準を満たした設備とする方針。担当幹部は「現在の災害救助法は想定が限定的だと感じる。今後の大規模災害で同じ状況に陥る可能性は十分あり、国が全て補助する良き先例をつくってほしい」と話した。【日下部元美】

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