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あした元気になあれ

小国綾子記者の「元気」を追いかけるコラム。

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あした元気になあれ

言葉の分からぬ教室で=小国綾子

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 夫の仕事で米国に4年間暮らしたことがある。当時10歳だった息子は現地の小学校で1年以上、一言も口をきかなかった。言葉の分からない環境に置かれた子どもに起こる「サイレント・ピリオド(沈黙の時間)」が、慎重な性格ゆえか他の子よりずっと長かったのだ。

 貝のように押し黙る息子を支えたのは校内のESOL(English for Speakers of Other Languages/英語を母語としない人向けの英語)クラスだった。息子は毎日のようにここで英語を吸収していたのだろう。2年目に口を開いてからは上達が早く、4年目には級友と同レベルの英語授業を受けられるようになった。

 ESOLに学ぶ生徒は主に、中南米やアジアからの移民家庭の子どもたち。専門教育を受けた先生が生徒だけでなく親のケアまでしてくれた。「サイレント・ピリオドは語学習得に大切なステップだから大丈夫」。私自身、この先生の励ましに何度救われたことか。

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