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社説

日米のインド太平洋構想 二律背反にしない賢慮を

 安倍晋三首相が来日したペンス米副大統領と会談した。「自由で開かれたインド太平洋」の推進を柱とする共同声明を発表した。

     この地域の社会基盤(インフラ)整備などに日米で計700億ドル(約7兆9800億円)を拠出する大規模プロジェクトだ。

     こうした巨額投資は、中国が進める経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙いがあるとみられている。

     開発支援は、日米の官民が主導し、オーストラリアやインド、東南アジア、南アジア諸国との連携を強化することを想定している。

     だが、インド太平洋構想を推進するにあたって、日本の立ち位置は難しくなっている。

     日本は中国との関係改善を図っている。先月の日中首脳会談で安倍首相は「競争から協調へ」と訴え、一帯一路への協力姿勢を見せた。

     首相はペンス氏との会談後の共同記者発表で「中国と建設的な対話を行うために緊密な連携が重要だとの認識で一致した」と述べた。

     一方、米国は中国との対立を先鋭化させている。多くの輸入品に高関税を課し、制裁関税の応酬で貿易戦争といわれる事態だ。

     ペンス氏は「権威主義は許されない。これは日米共有の理念だ」と強調した。トランプ政権の対中政策には日本がすでに組み込まれていると言いたいのだろう。

     日本が同盟国である米国と連携して対中政策を構築するのは当然だ。だが、だからといって米国と一緒になって一帯一路に対抗色を強めれば日中関係が再び逆戻りする。

     日米中のバランスをとり、日米と日中の関係が二律背反にならないような対応が求められる。

     ペンス氏は先月の演説で中国が「かつてないほど米国の政治に干渉している」と指摘し、「米軍の再建に伴い、インド太平洋全域で米国の利益を主張する」と述べた。

     しかし、米国がインド太平洋構想に軍事的側面を強めれば緊張が高まり、米中の覇権争いに巻き込まれたくないと地域の国々は警戒心を強めるだけではないか。

     中国との経済協力を進める現実的なアプローチをとりつつ、米国の対中強硬路線が行き過ぎないように目配りをすることが必要だ。

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