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クトゥーゾフの窓から

2018年春から2度目のモスクワ勤務に臨んでいます。目抜き通りの一つ「クトゥーゾフ通り」に面する支局の窓を開けると、何が見えてくるのか。周辺地域ものぞき込みながら考えていきます。

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クトゥーゾフの窓から

北の島々は(2)日露平和条約の現状を考える 交渉進展の可能性は?

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日露間で北方領土の帰属確認の協議が進まない中、現地ではインフラ整備が進む。択捉島の工場には「択捉にようこそ」との看板が掲げられていた=択捉島で2014年6月、大前仁撮影
日露間で北方領土の帰属確認の協議が進まない中、現地ではインフラ整備が進む。択捉島の工場には「択捉にようこそ」との看板が掲げられていた=択捉島で2014年6月、大前仁撮影

 安倍晋三首相が11月中旬にプーチン露大統領と再び会談するが、この会談で平和条約問題を進展させられるのだろうか。安倍政権は、プーチン氏が今秋立て続けに平和条約問題に言及したことについて「平和条約締結への意欲の表れ」と評価し、前向きの材料と捉えている。この分析は適切なのだろうか。日本政府はプーチン氏が前回訪日する前の2016年秋の時点で、平和条約問題に「前のめり」になりながら大きく進展させられなかった苦い経験があるのだが、前回の轍(てつ)を踏まずに済むのだろうか。いくつかの点を検証してみる。

 まずは平和条約問題が置かれている状況をおさらいしよう。日露両国が北方領土の帰属や返還方法、平和条約締結について話し合う交渉そのものは、現時点で事実上凍結されている。ロシアが「日本との間では十分な信頼関係が築けていない」と主張し、交渉に応じていないからだ。その代わりに両国は平和条約交渉の前提条件となる「信頼関係」を築くという目的を掲げ、北方領土で共同経済活動を始めるために協議している。日本としては…

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