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坂村健の目

東洋大情報連携学部(INIAD)の坂村健学部長が科学の視点でつづるコラム。

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反ワクチン映画、中止の英断

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 今月9日付の本紙(東京本社版)に「『MMRワクチン接種で自閉症増』米の映画 日本公開中止」という記事が載った。いささかわかりにくい見出しだが、MMRは麻疹・おたふくかぜ・風疹の3種混合ワクチン。それが自閉症を引き起こす--とする映画の内容が、配給会社の調査でデマと判明し公開中止になったという。

 日本で風疹患者が急増している今、意義あるニュースなのに毎日新聞以外はNHKが首都圏枠で報じたぐらい。わかりにくいからスルーしたのかもしれないが、わかりにくいのは背景にある「反ワクチン運動」の弊害についての報道が日本で少ないからでもある。

 この映画の監督、英国の元医師アンドリュー・ウェイクフィールド氏がその「反ワクチン運動家」の典型。「新3種混合ワクチン接種で自閉症になる」という論文を1998年に発表した。この論文自体は間違いと証明され撤回されたが、それを信じて子供にワクチンを打たせない親が増加し、世界で数万人とも言われる感染増加につながった。多くの命が失われ、命が助かっても先天性疾患や後遺症が残った。しかも論文誌発表前に「こっち…

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